健康なんでも相談室

軽度認知障害の診断

回答者:  鳥取県西部医師会員 廣江ゆう

質問

 80歳男性です。6月にもの忘れ外来で軽度認知障害と診断されました。指示通り運動と記憶に関しての脳トレをしていまいすが、日常生活で指示語が多くなり、認知機能が悪くなっているようで不安です。薬物治療は何時頃から始めたら良いのでしょうか。

 

 

回答

 治療の開始について

 

 軽度認知障害は認知症の前段階と考えられていますが、全ての方が認知症に移行するとは限りません。認知症に移行する率は1年に5~15%程度とされています。健忘型と非健忘型があり、健忘型がアルツハイマー型認知症に移行しやすいと言われています。しかし軽度認知障害から認知症への移行を抑制するために、抗認知症薬を使用すべきであるとの十分な根拠はないとされています。認知症の薬物治療は、認知機能の程度だけではなく、日常生活にどのくらい影響があるのかが開始のポイントになると思います。またその方の身体合併症や生活状況等も考慮する必要があります。軽度認知障害から認知症への移行を抑制するには、生活習慣病の管理と運動が推奨されています。現在なさっている運動や脳トレを継続され、定期的にもの忘れ外来を受診し、経時的な変化を確認していただくのがよいと思います。