健康なんでも相談室

前立腺肥大症術後の尿失禁

回答者:  鳥取県東部医師会員 村岡邦康

質問

 70代男性。3年前に前立腺肥大症の手術(経尿道的前立腺レーザー核出術)をうけました。その後も尿漏れが続き、薬を服用しても良くなりません。半年に1回くらい膀胱炎を繰り返しています。今後の治療方法があれば教えてください。



回答

 長引く尿失禁の原因は?

 

 前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺レーザー核出術は、前立腺の大きさに関係なく適応可能で、出血量が少なく、術後尿道カテーテル留置期間は短く、体への負担の少ない、かつ症状改善効果に優れた手術です。この手術に関連する尿失禁には、腹圧性尿失禁(重い物を持ち上げたり、咳やくしゃみなどによる腹圧の上昇で起こる尿失禁)と切迫性尿失禁(強い尿意切迫感とともに、尿をこらえきれずにもらしてしまう)、そして、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同時に存在する混合性尿失禁があります。術後早期にある程度の尿失禁は認めますが、おおむね3~6ヶ月程度で軽快します。また、前立腺体積が大きな症例では、術後腹圧性尿失禁の頻度が高いことが指摘されています。

今回のご相談では、術後1年以上経過しても膀胱炎を繰り返していますので、膀胱と尿道の異常がないかどうか再確認する必要があります。繰り返す膀胱炎の原因として、膀胱腫瘍、膀胱結石、膀胱憩室、尿道狭窄などがあり、膀胱鏡検査で内腔を観察する必要があります。続いて、膀胱や尿道の機能障害を検査します。その一つに尿流動態検査があり、排尿筋過活動や尿道括約筋不全の有無などが分かります。膀胱尿道機能障害の原因となる主な疾患には、脳梗塞、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、糖尿病などがありますので、かかりつけ医と相談のうえ、総合的な精査のできる医療機関の受診をお勧めします。