83才の母の白内障手術についてご相談します。 2ヶ月ほど前に急に右目が見えにくくなり、眼科を受診したところ、相当に進行した白内障(水晶体が茶色くなっている)との診断で、手術も1時間くらいかかる難しいものになる、手術をしても視力が回復するかはわからない、と言われました。水晶体が濁り過ぎていて中が見えないため、はっきりとしたことが言えないようです。
なお、今のところ見えないのは右目だけですが、左目も白内障があり視力は0.5です。 手術を選択すべきでしょうか。手術しても治らなかったら母に苦痛を強いただけという結果になり、また持病(多発性骨髄腫)の治療にも影響があるため迷っています。
高難度の白内障手術
現在、白内障手術は、ほとんど痛みのない局所麻酔下で、3mm以下の小切開創で行い、手術時間も短く、日帰り手術が一般的になっています。ところが、ごく稀には、質問のように白内障が進行し過ぎていて、水晶体が硬く濁っており、小切開創からは手術が困難な症例もあります。そのような場合には切開創を大きくし、手術時間も長くなりますが、局所麻酔で日帰り手術は可能です。また、このような症例では、手術後にどこまで視力が回復するのか、確実な予測は困難ですが、手術前の検査である程度の予測は可能です。
末期がんの方でも白内障手術を希望される方はいらっしゃいます。右目の手術をするかどうかは、骨髄腫の治療への影響、手術による視力回復の可能性、左目の視力との兼ね合い、ご本人の意思等を総合的に判断して決めます。そして、一般の白内障手術よりも難しく、手術中の合併症も生じやすいので、そのような手術に慣れた術者と、対応可能な施設を紹介して頂くのが良いと思います。