健康なんでも相談室

下剤について

回答者:  鳥取県西部医師会会員 米川正夫

 

質問

 66才の主婦です。長い間便秘に苦しんでいます。便意がないことと下剤を毎日飲んでいると癖になるのではないかと心配です。どんな下剤を選んだら良いでしょうか?



回答

 刺激性下剤など3作用

 

 下剤は、その作用によって大きく3つに分けられます。(1)腸管を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促すタイプ(刺激性下剤)。(2)腸管内に水分を引き込み、便をやわらかくし便の量を増やすタイプ(機械的下剤)。(3)その他。

 刺激性下剤では、センナ、大黄、アロエなどの生薬が含まれているものが良く用いられます。どの薬も腸内細菌により代謝されて効果を発揮しますので、個人差があります。また、長期間使用していると効果が減弱したり、大腸粘膜に色素沈着を起こしたりします。その他に、ピコスルファート製剤も頻用されます。こちらも腸内細菌により代謝されて効果を発揮します。液剤は量が調節しやすく、習慣性もないので小児や高齢者にも良く使われます。

 機械的下剤では、塩類下剤の酸化マグネシウム製剤が良く処方されます。腸管内に水を引き込み、腸内容を軟化増大させその刺激により排便を促します。腎機能の悪い人、高齢者では慎重投与が必要です。また膨張性下剤のバルコーゼや寒天も処方されます。習慣性がなく、高齢者にも安心して用いることができます。その他では、近年登場した下剤で、ルビプロストン(アミティーザ®)、リナクロチド(リンゼス®)、エロビキシバット(グーフィス®)があります。腸管の粘膜に直接作用し腸液の分泌を増やしたり、胆汁の大腸への排出を増やすなど、今までの下剤とは全く異なる作用機序で排便を促します。

 どの下剤を使うかは、かかりつけの先生とよく相談してください。