健康なんでも相談室

1年以上続くふらつき

回答者:  鳥取県西部医師会員 辻田哲朗

質問

 76歳男性。昨年6月「ふらつき」等があり脳梗塞の疑いで入院して、CT、MRIの検査をしましたが、入院検査中に顔面の左側が垂れさがり、眼尻、口の端(左側)より飲み物がこぼれるようになってきました。顔面性神経まひといわれ、ステロイド点滴・薬を飲み、リハビリ療法により、顔面神経まひについては治療しましたが、入院当初よりの頭のふらつき、めまい(浮遊性)、頭重感は依然として治りません。診断書の病名には「多発性脳神経まひ」となっています。現在では自動車の運転にも支障をきたす状況となってきました。いい治療方法はないでしょうか。よろしくお願いします。

 

 

回答

 ラムゼイ・ハント症候群か

 

 まずCT、MRIの検査で脳梗塞ではないと判りましたので、とりあえず一安心です。診断書の病名に「多発性脳神経まひ」とありますが、障害の部位をもう少し狭めていかないといけません。顔面神経もいくつかある脳神経の一つになります。そして脳から出ている脳神経には顔面神経と一緒になって走行する神経に平衡神経があります。この神経は体の平衡感覚を調整しています。おそらく顔面神経まひの時にこの平衡神経も傷んだと推測されます。その代表的な病気にラムゼイ・ハント症候群というのがあり、耳帯状疱疹とも言います。帯状疱疹により顔面神経や平衡神経が傷ついた状態になり、顔面神経まひやふらつきが起こる病気です。もしこの病気でしたら、顔面神経まひは治ったわけですから、ふらつきについても時間こそかかりますが、必ず治ると思います。ところが、ふらつきを自覚されてから、1年になりますから、他の病気も考えないといけません。やはり耳鼻科の専門医の受診を勧めます。