健康なんでも相談室

男性の排尿障害―適切な治療で生活改善

回答者:  鳥取県済生会境港総合病院泌尿器科部長 井上明道

質問

95歳の男性。毎日、度々の小便(少なくとも1日15回以上)で、チビチビと切れが悪く、1回の排尿に3~5分時間がかかります。

時々、間に合わなくて尿漏れもあり、日常生活に大変な支障をきたしております、アドバイスをお願いします。

回答

おしっこの出具合がおかしくなることを、排尿障害といいます。排尿障害の症状には、
・ 昼間2時間以内にトイレに行く(頻尿)
・ 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
・ 排尿の途中で尿が途切れることがある(尿線途絶)
・ おしっこの勢いが弱い(尿勢低下)
・ お腹に力を入れないと排尿できない(腹圧排尿)
・ 排尿後まだ残っている感じがする(残尿感)
・ おしっこが間に合わずチビることがある(尿意切迫感)
など、いろいろなものがあります。

排尿障害を起こす原因には、次のようなものがあります。 ・ 前立腺の肥大
・ 前立腺および尿道の過緊張
・ 膀胱収縮力の低下
・ 前立腺がん
・ 神経因性膀胱 など。

もっとも多くみられる排尿障害の原因

前立腺の肥大

前立腺が肥大すると、前立腺の中央を通っている尿道を圧迫するようになり、尿が出にくくなります。
また、肥大した前立腺が膀胱を圧迫することもあります。

前立腺および尿道の過緊張

前立腺の肥大などによって、前立腺とこれに続く尿道の筋肉が自律神経の刺激を受けやすくなります。
そのために、前立腺とその近くの筋肉が過剰に収縮して、尿道を締め付けるようになり、排尿障害が起こります。

前立腺肥大症の治療法については、最近ではかなり優れたお薬があり、症状改善に役立っています。
薬の効果が悪い場合には、尿道から内視鏡を挿入して、肥大した前立腺を削り取る手術(経尿道的前立腺切除術)が代表的なもので、手術時間は30分~60分程度で通常手術後1週間で退院できます。

排尿障害の自覚があったら、早急に泌尿器科の専門医の診察を受けることをお勧めします。自己診断は危険です。

排尿障害の検査器機には、泌尿器科にしかないものがあります。

排尿障害の原因をつきとめ、適切な治療をすることが大切です。

障害を悪化させない日常生活として
・ アルコールを控える
・ 下半身を冷やさない
・ 便秘にならない
・ 適温での入浴
などがあります。