健康なんでも相談室

偏人工ペースメーカー植え込み適応の不整脈

回答者:  鳥取県西部医師会員 面谷博紀

質問

 私の母のことですが、昨年の健康診断で高血圧を指摘され、副腎腫瘍の疑いがあるといわれました。精査を勧められましたが母が拒否したため何もせず1年がたちました。そして今年の健康診断では不整脈も指摘され、人工ペースメーカーを入れたほうがよいとのことでした。副腎腫瘍の検査をするよりも先にペースメーカーを入れて不整脈を治した方がいいのでしょうか?

 

 

回答

 すみやかな対応を

 

 一般に血圧は年齢とともに高くなっていき、血圧上昇の原因のはっきりしない高血圧を本態性高血圧といいます。一方、その原因がはっきりした高血圧を二次性高血圧といい、代表的なものに原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの副腎腫瘍によるものがあります。副腎とは左右の腎臓の上にある小さな内分泌臓器で、副腎に腫瘍ができてアルドステロン、カテコラミンなどのホルモンが過剰に産生されると高血圧の原因となります。お母様の年齢や自覚症状、健診結果などの詳しい情報がありませんが、腹部エコーで副腎腫瘍が疑われた、血液検査で原発性アルドステロン症を疑うような検査異常(低カリウム血症)を認めた、あるいは褐色細胞腫を疑うような血圧上昇発作があった、などにより副腎腫瘍が疑われたと推測されます。 一方、人工ペースメーカー植え込みの適応となる代表的な不整脈には、完全あるいは高度房室ブロック、洞不全症候群などがあります。これらは、心拍数が極端に遅くなることで眩暈や労作時息切れ感、時に失神や突然死を生じ得る危険な不整脈であり、自覚症状が乏しくても早急に対処する必要があります。 健診結果を持ってすみやかに医療機関を受診しましょう。まず行うべきことは不整脈に対する対応です。そして血液検査や画像診断等により副腎腫瘍についての精査を進めていくことになると思います。