健康なんでも相談室

脳卒中の発症は月曜日が多い!?

回答者:  鳥取大学医学部環境予防医学分野 尾崎米厚

質問

先日のニュースで脳卒中の発症は月曜日が多い(鳥大グループ調査)とありましたが、何故、月曜日に多いのでしょうか。どのようにして調べられたものでしょうか?

回答

7月4日付けの日本海新聞、その他テレビのニュース等でも取り上げられた件ですね。鳥取県では鳥取県、鳥取県医師会、鳥取大学医学部が協力して鳥取県の健康問題に対処するために健康対策協議会という組織をつくり様々な活動を続けております。そのひとつとして、1985年より鳥取県脳卒中登録事業を行なっていますが、この度のデータもその事業の結果に基づくものです。

鳥取県は全国と比べ脳卒中死亡が多く、県の健康指標があまりよくない原因にもなっています。そこで県をあげて脳卒中を起こした人の状況を把握し対策に役立てようと開始されたものです。登録は患者さんの同意を得て行なわれ、情報は退院後の患者さんへの地域保健サービスにも役立てられています。このように県をあげて事業を行なっているところは全国でも数県しかありません。

発表された研究は、1985年から2001年末までの17年間に報告された1万7千あまりの患者さんの情報のうち、40歳以上で再発を除いた1万4百あまりの情報を分析したものです。季節別にみると脳出血は冬、春に多いこと、曜日別にみると男女ともとくに脳梗塞で月曜日の発症が多く、40-59歳でその傾向が顕著なことが明らかになりました。40-59歳の全脳卒中ではいちばん少ない日曜日を基準とすると月曜日発症者数は1.4倍、脳梗塞では1.5倍でした。60歳以上の全脳卒中では月曜日が日曜日の1.2倍、木曜日が1.1倍で、月曜日に次いで木曜日が多いことが明らかになりました。これらは脳卒中発症には気候のみならず、社会生活に関係したストレス等が関係する可能性を示しており、週末から週明けにかけての過労、深酒、喫煙をひかえるなど生活上の注意の大切さを示すものかもしれません。