健康なんでも相談室

大陰唇のしこりに悩む―良性の腫瘍ですが切除も―

回答者:  鳥取県立中央病院産婦人科部長 皆川幸久

質問

55歳、女性です。3週間前に気がついたのですが、大陰唇に1箇所金時豆ぐらいのしこりがあります。痛くもなんともありませんが、このまま放置してよいしょうか?
恥かくして診察に行くかどうか悩んでいます

回答

外陰部,特に大陰唇には皮膚の腫瘍として様々な腫瘤ができます。頻度が高いものに粉瘤(アテローム)[解説参照]があり、ご質問の腫瘤は、この粉瘤ではないかと推察されます(お話だけで断言はできませんが)。 女性の羞恥心はよく理解できますが、感染(化膿)を生じますと痛みの原因になりますし、稀ではありますが外陰部に生じる悪性腫瘍を否定するためにも、皮膚科または産婦人科の受診をお勧めいたします。

[解説] 粉瘤(アテローム)

粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、皮膚から削げ落ちる垢(角質)と脂が、削げ落ちず袋の中にたまってしまった腫瘍の総称です。“脂肪のかたまり”と呼ばれることが多いですが、脂肪の塊ではありません(本当の脂肪の塊は脂肪腫と呼ばれる別の腫瘍)。皮膚科の病気の中では頻度の高い良性腫瘍です。色々な場所の皮膚にできます。他の種類の粉瘤もありますが、ほとんどの粉瘤は前述のような表皮嚢腫と呼ばれるもので、しばしば中央に黒点状の開口部があり、強い圧迫で練り状の物質がでることがあります。放置すると、開口部から細菌が感染し痛みや赤みを生じ、切開が必要になることがあります(化膿性粉瘤)。あくまで良性腫瘍ですが、感染を繰り返すものや大きくなるものもありますので、感染を伴わない場合も、ある程度の大きさになったものは切除(粉瘤を表面の皮膚ごと取り除く)した方がよいかもしれません。