保健の窓

脳卒中の治療と予防

米子市 よなご脳神経クリニック 院長 門脇光俊

脳卒中ってどんな病気?

 脳卒中は大きく分けると、脳の血管がつまる「脳梗塞」(のうこうそく)と脳の血管が破れる「脳出血」や「くも膜下出血」に分けられます。

「脳梗塞」は脳の血管が細くなるまたは、詰まることにより血流が悪くなり起こります。

「脳出血」は脳の中の細い動脈が破れることにより起こります。

「くも膜下出血」は多くは脳の表面にできたコブが破れ、くも膜という膜の下に出血することにより起こります。

脳卒中は現在日本人の死亡原因の第4位です。2020年までは患者数も増え、287万人近くに達するとも予想されています。また寝たきりになる方の3割は脳卒中によるもので、最大の原因となっています。

脳卒中を発症したり、寝たきりにならないように予防することが何よりも大切になります。

脳卒中がおこりやすくなる原因を危険因子(きけんいんし)と言います。危険因子には高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などがあります。生活習慣としては過度な飲酒、喫煙などがあげられます。生活習慣を改善したり、適切な治療を行うことで危険因子をコントロールし予防に努めましょう。次回は脳卒中の治療についてお話します。

 

 

脳卒中急性期の治療

 顔の片側がさがる、片側の腕に力が入らない、言葉が出ない・呂律が回らないなどの症状が出た際には脳卒中を疑いましょう。そして可能な限り早く病院を受診してください。早く治療を開始することにより後遺症を軽くできる可能性があります。特に脳梗塞の治療においては、発症後4.5時間以内しか使用できない点滴、基本的には発症後8時間以内しか行えない血管内治療(脳につまった血の塊を特殊なカテーテルを用いて摘出する)があります。個々の症例によって治療が必要になるかは決まりますが、時間を過ぎていると行えなくなります。脳出血の治療は再発予防のための血圧管理、リハビリテーションが中心となります。出血が大きいも、命の危険性がある場合などには出血を取り除くこともあります。くも膜下出血は脳にできたコブが破裂することにより出血することが多く、破裂を繰り返すたびに死亡率が上がります。そのため再破裂予防に手術を行います。開頭クリッピング術という頭を開いてする手術と、血管内コイル塞栓術というカテーテルと呼ばれる細い管を動脈瘤にもっていき、コイルと呼ばれる物を瘤の中に詰める手術があります。脳卒中は早期診断、早期治療が原則です。