みなさん便秘とは何日も便が出ないことだと思っていませんか？便秘とは「便が出ないこと」ではなく「便を秘める」ことです。ですから毎日便が出ていても、すっきり出ずに中に残っていたら便秘なのです。また肛門に便がたまっているのに便意が来ない状態も便秘です。世間一般で言われている便秘とは種類が違います。「おなか（腸）」ではなく「出口（直腸）」の便秘です。肛門や直腸の感覚が鈍ってしまったためになった便秘です。
便意を我慢したり、便意があるのに後回しにして便意がなくなってからトイレに行って便を出したり、行きたい時にトイレに行かない習慣の結果なってしまった習慣性の便秘です。便をためられるよう肛門を鍛えてしまったわけです。便意を我慢すると便が直腸や肛門にたまったままになってしまいます。そうするとたまった状態が当たり前になってしまって、少量の便がたまっても便意がこなくなってしまいます。たまる便の量が増えると腸が伸びてしまいます。伸びきった腸は便を押し出す力が弱くなるので、便が出ても全部出し切れずに残るようになります。それがエスカレートすると便がたまっても全く反応しないオシリになってしまいます。
直腸内にたまった便を出さずにいると、水分が吸収されて固くなります。コロコロした硬い便になったり、大きな塊になった便が肛門をふさいでしまって便が全く出なくなり、「摘便」と言って指や器具を使って便を出してあげる処置が必要になります。
何年も直腸型の便秘を直さずにいると、常に肛門内に便がたまった状態になり、肛門に負担がかかります。うっ血してイボ痔が出来たり、硬い便が出るときに肛門が切れて切れ痔になったり、便のせいで化膿して痔瘻になったり、便の刺激で肛門がかゆくなる「肛門そうよう症」という病気になります。この様にオシリにトラブルを抱えている人は「オシリの便秘」をしています。便秘もしていないのに痔になることはめったにありません。こんな便通だから痔になっていると言えるのです。
痔は排泄の結果です。間違った排泄を直さずに、手術を受けても、直腸便秘になれば何度でもオシリのトラブルを繰り返します。根本治療は「ちゃんと排泄して肛門をカラにすること」が大切です。そのためには、いわゆる下剤や便を柔らかくする内服薬だけでは上手く行きません。浣腸や排便を促す座薬などを使って直腸をカラにすることが大切です。