保健の窓

あなたにも潜む睡眠障害

のむらニューロスリープクリニック 院長 野村哲志

睡眠障害とは

 睡眠とは覚醒と相反し、疲労回復、身体の成長、免疫力の向上、記憶の定着など重要な役割を担っています。睡眠と覚醒は大脳で制御されており、概日リズムにより調整されています。長時間睡眠をとることにより睡眠が深くなり、休息のノンレム睡眠より脳が活動的になるレム睡眠が出現します。この90分周期の睡眠を夜間に繰り返します。睡眠時間も年齢と共に減少しますが、適切な睡眠がとれない状態が睡眠障害で現在5人に1人がこの状態となっていると考えられます。

 睡眠障害にも種々の原因があります。睡眠障害は夜間の問題だけでなく、相反する覚醒の問題となる日中の眠気も引き起こします。睡眠障害を引き起こす病気には好発年齢もあります。例えば、不眠症に関しては壮年期から老年期に増えていきます。同様に、睡眠関連呼吸障害、レストレスレッグス症候群なども同様の傾向にあります。一方、レム睡眠行動障害は老年期以降に出現することが多い病気です。一方、小児期、青年期には過眠症や概日リズム障害等が問題になることがあります。このように、種々の年代で異なった睡眠障害を患う可能性があります。

次回は、種々の睡眠障害についてお話しさせていただきます。

 

 

種々の睡眠障害について

 不適切な睡眠時間は死亡率上昇、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症)やうつ病の発症増加に繋がります。不眠症により夜間睡眠時間は短縮しますが、不眠症には入眠障害(寝つきが悪い)、中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)、早朝覚醒、熟眠障害(寝た気がしない)等の不眠のタイプがあります。心理的要因等の原因で起こったり、レストレスレッグス症候群(就寝前に下肢に不快感を伴う病態)であることもあるため、原因検索の上治療となります。

 不眠症で認知機能悪化の報告もある一方、睡眠薬の長期使用で認知症発症リスクが上がる報告もあり、適切な薬剤対応が必要です。

夜間に夢見行動を起こすレム睡眠行動障害は、パーキンソン病等の神経変性疾患に進展する可能性もあります。

年齢や肥満と共に増加する睡眠時無呼吸症候群は壮年期の日中の眠気を起こし、交通事故や労働災害の原因になるため、いびきのある方は注意が必要です。

過眠症や概日リズム障害は授業中や仕事中の眠気、起床困難を起こして、不登校や社会生活に影響を与えるために早急の対応が必要です。

このように誰にも潜む睡眠障害ですが、気になる場合にはまずは近医に相談することをお薦めします。