Joy!しろうさぎ通信『10年目にむけて』

鳥取赤十字病院  田 中 那津美

鳥取県医師会のみなさま、いつも大変お世話になりありがとうございます。医師としては9年目になりましたが、出産はおろか結婚もしていない私は生物学的にはXX‥という感じで今まで過ごしてきたので「しろうさぎ通信」を書かせてもらってよいのだろうかと不安ではありますが、いつも読ませていただいていた「しろうさぎ通信」を少しどきどきしながら書かせていただきます。

私は松江市で生まれ、父は小児科医、母は専業主婦でした。子供の頃は「お母さんのような主婦になる」と公言していましたが、気付けば父の背中を追っていました。鳥取大学を卒業後、初期臨床研修で一番楽しかった第3内科(分子制御内科学分野)に入局を決めました。研修中、全く熱心ではなく17時になるとすぐに帰ろうとしていた私はほとんど勧誘されませんでしたが、肺癌の診療にすごく魅了されました。患者さんのキャラクター的にも、呼吸器内科医と何かとご縁ができてしまう重喫煙歴のある方々は、人が好きで明るくおおらかな方が多く、またそんな憎めない旦那さんを長年支えてきたステキな奥様も含めて魅力がある方が多いといつも感じます。また、肺癌の化学療法はどんどん進歩しており以前よりは長期の生存が期待できるようにはなっていますが、やはり予後が悪いことが多く、これまでの生活や人生で大切にしてこられたことを伺いながら最期のときまでの過ごし方を本人・家族と話し合っていくこ ともすごくやりがいを感じています。3年目からの1年半は鳥取県立中央病院で呼吸器疾患に限らずたくさんの経験をさせていただきました。その後は鳥取大学で社会人大学院生、専門医取得、日々の臨床と怒涛の日々を過ごしてきました。たくさんの先生に時に厳しく、熱心に指導をしていただきました。素直になれない時もありましたが、少しは成長できたかなと振り返りながら、感謝の気持ちでいっぱいです。

今年の4月からは鳥取赤十字病院に勤務しています。魅力的な女性医師の先生がたくさんおられ、まだまだ余裕のない私はこんな風になりたいなと憧れながら楽しく働いています。当院の働くママさんへのサポートとしては院内保育所「すまいる」があり、病児病後児保育・一時保育を行っています。ベテランの保育士さんに医局や外来のすぐ近くで子供をみてもらうことができるので、少し手が空いた時に会いに行くこともでき、すごく安心感があると思います。また、当院の女性医師が集まっておいしいものを食べる「女医会」も開催されており、楽しみにしています。

これまでのことを思い出し、これからのことを考えると、今までは自分の資格取得や目の前の仕事だけで周りをみる余裕がなく、男女共同参画をはじめ他の医師の働き方やワークライフバランスなどを考えることはできていませんでした。今後は様々なことにおいて消費をするだけの存在ではなく、役に立つ何かを生産できるようになりたいと感じました。また、女性医師としての今後を考えてみると不安はありますが、困った時には周りの皆さんにお世話になりながら、自分らしく仕事を続けていけるといいなと考えています。