Joy!しろうさぎ通信『女性医師が輝く組織・社会をめざして』

鳥取県医師会 会長  渡 辺   憲

今、社会のあらゆる分野において、女性の活躍が求められています。かつてジェンダー(性別)に偏りのみられる職業に警察官、自衛官、バス・トラック運転手、建設現場監督、さらに政治家etc.が男性が圧倒的に多い代表として挙げられ、一昔前には、医師もその仲間に入っていたと思います。一方、女性の多い職業として看護師、保健師、保育士、キャビンアテンダントが代表格として挙げられますが、現在は男性の進出も多く、今や看護婦、保健婦、保母、スチュワーデスという性別の意味を含んだ用語はすっかり「古語」になりました。

つい最近の報道では、政治に関連して、議員の女性比率がわが国では10.5%で、この比率は世界各国の中で第165位とのことでした。政治の世界への女性の進出が強く求められ、候補者男女均等法の昨年成立も受けて、わが国の女性議員も増えつつあるように感じておりましたが、まだまだ遅れていることが分かります。ちなみに、ヨーロッパ諸国では、女性議員比率は30~40%とのことです。また、企業、組織で働く人々の待遇に男女差があってはならないとの観点で、最近、男女平等指数が策定され、雇用、給与、昇進、管理職への登用等の平等性を指数化して、フランスでは企業が毎年申告し、何十点かの基準得点を下回ると課税の形でペナルティーを科せられるようになったとのことです。この報道をしていたフランスの放送局自身の指数は90点でしたと自慢そうにキャスターが語っていました。

ひるがえって、わが国の医師の女性比率は、2016年の統計では21.1%で、OECD加盟34か国中最下位(下図)でした。最高はラトビアで74.4%、平均値は46.5%、イギリス等のヨーロッパ主要国はほぼ40%台となっています。

わが国においても、近年、医学部学生の女性比率は33%を超えており、34歳以下の医師の女性比率も同様となっています。この比率は、もっと上がっていくべきと考えますが、昨今のいくつかの大学における入試の不適切な対応は大変残念なことです。ちなみに、鳥取県における直近の女性医師比率は17.3%、県医師会員における女性比率は15.5%(女性医師会員数217名/全会員数1,403名)です。

一方、女性医師が医療機関で活躍を維持するためのさまざまな取り組みも求められています。現在進められている医師の働き方改革では、長時間勤務の是正が喫緊の課題として議論されていますが、同様に、ワークライフバランスを支援する短時間勤務、フレックスタイム等の多様な勤務形態に組織的に取り組むことが重要と思います。また、育児休暇等から復帰する際のキャリア継続支援も、大学、病院、医師会の共通した役割です。また、これらが組織文化として永続していく基盤を固めるには、さらに多くの仕組みを必要としますし、医療機関への診療報酬上の配慮もなされるべきと思います。

今後とも、医師会活動へ是非、多くの女性の先生方の参画をお願いたします。各種委員会、部会、会報編集等へ積極的に加わっていただき、さらには役員へも手を挙げていただくようご期待申し上げます。実は、当県医師会も70年余りの歴史の中で、前期まで6年間お務めいただき、この“Joy! しろうさぎ通信”を創設し育ててくださった武信順子先生が初めての女性役員(理事)でした。今期は、同じく中部の松田隆子先生がしっかり引き継いでおられます。

最後に、つい先日、私自身がお招きをいただき、大変なエネルギーをいただいた「鳥取県東部医師会女性医師の会」(平成31年3月8日)の写真をご紹介して、本稿の結びとさせていただきます。東部医師会の松浦喜房会長、尾﨑 舞理事、ご参加の先生方、ありがとうございました。