Joy!しろうさぎ通信『「第1回天晴れおかやま女性医師リーダー養成ワークショップ」参加報告など』

鳥取県医師会理事・医療法人十字会野島病院 内科  松 田 隆 子

以前より、男女共同参画関係の会に興味を持ち、よく参加しています。現在、県医師会理事で女性医師支援担当でもありそのような会に出席しています。

平成31年3月21日岡山大学鹿田キャンパスで「第1回天晴れおかやま女性医師リーダー養成ワークショップ─ゆっくりでもよい、指導医になろう─」が開催されました。岡山県医師会では今年度から、岡山大学医学部、川崎医科大学、岡山県保健福祉部と共に女性指導医の活躍を推進するため、次世代の女性指導医を顕彰する賞が創設されたとのことでした。この第1回天晴れジョイボスアワード大賞・奨励賞表彰式に出席し、受賞者の講演を拝聴してきました。

大賞受賞者の岡山大学大学院医歯薬総合研究科小児科学准教授 岡田あゆみ先生は、『共に悩み共に育つ─心身医学的キャリア形成─』と題して、“キャリア形成に役立つ心身医学”、“治療的自己から見たキャリア形成”、“指導医とは何か”との3つの要点を中心に講演されました。心身医学とは、すべての診療の基本になる考え方であり、身体二元論ではなく「心身一如」の立場をとり、全人的に診ていく医学であることや、日本心身医学会(1991年)の心身症の定義を示されました。“治療的自己therapeutic self”は、J.G.Watkinsの言葉で、“医師自身の人柄が患者の病を癒す”という意味だそうです。キャリア形成には、その任に自信がなくとも、自らがそこから成長することだと述べられました。ご自身所属の岡山大学医療センター子どもの心身治療部の紹介や、自分も子育て中であることも話されました。

奨励賞受賞者の川崎医科大学総合臨床医学 庵谷千恵子先生は『女性医師であることを楽しむ』と題して、自分の分野での男性医師と女性医師の違いや女性医師の多様性について、キャリア支援に必要な要素などを話されました。リーダーとして、今後お二人の活躍が期待されます。

講演後、グループワークとして、一時的に勤務に制限のある女性医師は常勤に復帰後、指導医になる将来をあきらめてしまうケースなど、本人や周囲がどう向き合っていくか等、グループ分かれで話し合う構成でした。大変残念ながら私は出席できませんでしたが、このような会や企画は次世代の女性医師指導医の育成や活躍の推進に大変よいと思いました。

医師は、研究成果の発表、医療の動向や進歩する医学知識の獲得、キャリアの研鑚や資格継続のために自分の専門分野の学会に参加します。最近、多くの学会では、男女共同参画の演題が企画され、私は時間を調整し所属学会のこれらのセッションにも出席しています。本年度春季学会で、私が見聞きしたことを簡単に述べます。

循環器学会総会では、会長特別企画『女性循環器医の妊娠・出産、その後─新時代にむけて』で6人の若い女性医師が講演されました。病院勤務で、冠動脈カテーテル検査など積極的に医療に従事されている子育て中の女性医師が発表されました。循環器学会では女性研究者奨励賞があります。内科学会総会では男女共同参画・医師の働き方改革についての検討会として、基調講演で名古屋大学総長 松尾清一先生が、男女ともに現在の働き方を改革する必要を説かれました。循環器学会、神経学学会、腎臓病学会などの代表が、各医療界の多忙さ、女性会員数や学会組織の運営に関与する女性会員数などを述べられました。第30回日本医学界総会2019中部では、『医療人の男女共同参画─外科医の立場から、内科診療における「総活躍社会」をめざして、医療人の男女共同参画社会(行政の立場から)』と3人の講師が講演されました。

以前はこのような演題への参加者は少なかったですが、本年度はどの学会でも参加者が増加、男性医師も参加されています。また各学会でも、子育て医師が参加できるように、学会開催中、託児所が設置されるようになってきました。しかし、学会組織の運営などに関わる理事や評議員の女性医師数はまだまだ少ないのが現状です。

〔追伸〕子育て女性医師の就業を支援するために、鳥取県医師会では、鳥取大学病院や鳥取県内の病院内保育所の設置状況を確認し、案内できます。また、鳥取県公式ホームページの「子育てに便利な情報一覧」で検索すると、県内の保育施設が、一覧できます。是非、ご参照下さい。