会長挨拶
平成22年 年頭の挨拶

鳥取県医師会 会長 岡 本 公 男
新年あけましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては、ご家族お揃いで決意を新たに良き新年をお迎えのことと謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、“新語・流行語大賞”の「政権交代」と“2009年今年の漢字”に選ばれた「新」でよく言い表されている一年でした。
5月の連休頃より産声を上げた「新型インフルエンザ」は医療界を始め国民全体にセンセーションを巻き起こしました。年末になって少し下火になっていますが、12月初旬には鳥取県全体に警報が発せられる程の流行ですさまじいものがありました。県民のパニックを思わせるパンデミックの中、国の方針が二転三転し、充分な量のワクチンが各々の医療機関に届くのが遅れたにもかかわらず、診断、治療からワクチンの接種へと慌ただしくご活躍、ご苦労いただきましたことに感謝申し上げます。また、患者さんのほとんどが若年者であったことより高校生までを前倒しして集団的個別接種を行うなどご対応いただいた小児科を中心とした学校医の皆様、ありがとうございました。1月にも残りがあるようですので引き続きご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
8月30日投開票された第45回衆議院議員選挙におきまして、国民は民主党に308議席を与え圧倒的大差による「政権交代」を選択しました。各方面から「期待」と「不安」の声が上がる中、9月16日には「友愛」を掲げる鳩山内閣が誕生し、マニフェスト通り、「脱官僚」「政治主導」を合言葉に前政権の補正予算の凍結、見直し、次いで来年度予算編成における無駄の排除のため「事業仕分け」がにぎにぎしく執り行われました。国民に公開されたこと、チーム編成に多くの民間人が登用されたこと、また納得できる仕分けもたくさんあり、一定の評価はできますが、目先のことにとらわれ過ぎ、長期的ビジョンや成長戦略に欠けているように思うのは私だけではないでしょう。
さらに、民主党の一部からは選挙前から診療報酬の決定プロセスにおいて利害関係者を排除し「政治主導」で行うということが言われており、中医協委員の改選についても不安を持って見守っていましたが、開業医、勤務医、大学・行政の医師など全ての医師を代表する唯一の団体である日本医師会から参画していた委員がすべて再選されず、大変残念で由々しき問題も起こりました。しかし、新たに選ばれた方々もそれぞれ立派な方とお見受けしますので、日本医師会員を代表して堂々と渡り合ってほしいと思います。失業率5%など悪化する日本経済の中で過剰な要求はいかがなものかと思いますが、医師不足、地域医療の崩壊を食い止めるだけの成果を上げていただけると期待します。よく使われる言葉ではありますが、「政治なくして医政なし、医政なくして医療なし」。我々は、これまでもそうであったようにこれからも安全で安心で良質な医療を国民に提供していけるように物事を国民目線で考えながら勤務医、開業医の別なく一致団結して前進していきたいと考えております。会員の皆様のご理解、ご支援をお願いいたします。
また、レセプトオンライン請求の義務化については、マニフェスト通り、昨年11月25日の省令で改正され義務の免除はなされましたが、この3月末日までに支払基金、国保連合会への届出が必要となっています。詳細はすでにお知らせしていることと思いますが、ご質問等ございましたら、県医師会までお問い合わせください。
最後になりましたが、新しい年が会員の皆様にとりまして、希望の光が差し込んでくる年となりますよう心からお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
鳥取県医師会創立60周年記念式典 挨拶
本日、ここに鳥取県医師会創立60周年並びに鳥取県医師国民健康保険組合創立50周年の記念式典を挙行致しましたところ、ご多用のなか、鳥取県知事・平井伸治様、防衛大臣・衆議院議員・石破茂様、衆議院議員・赤澤亮正様、参議院議員・田村耕太郎様をはじめ、多数のご来賓の皆さまをお迎えし、盛大に開催することができましたことを厚く御礼申し上げます。
さて、医師会の歴史をさかのぼりますと、明治39年に医師法が制定され、近代医療制度が確立され、明治41年には、旧制度の鳥取県医師会が発足しております。大正12年には、公的法人としての日本医師会が発足し、これにより中央と地方の医師会との系列化が確立されました。その後、戦時中の統制時代を経て、終戦後の昭和22年11月、新制度によります鳥取県医師会が誕生し、本年で60周年を迎えた次第であります。戦後の動乱期、昭和の復興期と高度成長期、平成に年号が変わってバブル崩壊とそこからの脱却など、現在に至るまで、正に平穏とは言えない60年であったかと思います。その間、歴代の医師会長をはじめ、先輩医師たちが数多くの苦難を乗り越え、日々の医療活動をはじめ、医師会活動の活性化、予防接種、学校医、産業医など、さまざまな地域社会活動の参画に尽力されたことに対し、深甚の敬意を表する次第であります。鳥取県医師会は、鳥取県東部医師会、鳥取県中部医師会、鳥取県西部医師会、鳥取大学医学部医師会のそれぞれに所属する会員から構成され、会員数は現在1,363名で、10年前と比較して約200名増加しております。各地区医師会は、それぞれ独立した社団法人として、地域に密着した保健医療活動を展開しております。
昭和46年には、鳥取県、鳥取大学医学部、そして鳥取県医師会の三者構成による鳥取県健康対策協議会が設立されました。鳥取県医師会は、その中心的な存在として、老人保健法による胃がんをはじめ、各種がん検診の精度管理を行い、早期発見・早期治療に努め、県民の健康保持増進に少なからず寄与してきたものと自負しております。
平成3 年には、鳥取県健康会館、いわゆる医師会館を建築し、その活動の拠点にするとともに、医師会員の生涯教育として学術講演会を開催するなど、日々医学医術の研鑽に努めているところであります。また、住民の高まる健康意識に対応するため、毎月1 回の公開健康講座の開催や、面談による健康相談室を毎週木曜日に開設するなど、開かれた医師会としての活動も展開しております。
平成16年には、新医師臨床研修制度がスタート致しました。医師国家試験に合格した者に2 年間の研修が義務化され、それまで大学の医局制度による研修から、研修指定病院であれば全国どこでも希望する施設で研修できるシステムに変わりました。これにより研修医が地方から都会へ、大学から有名病院へと流れることとなり、従来、地域の医師の供給元であった大学の医局が派遣を取り止めるところもあり、現在、全国的に、特に地方において医師不足に陥っている状況は皆さまご承知のとおりであります。
また、国では医療制度に関する改革が進められており、これは昭和36年の国民皆保険制度創設以来の大改革と言われております。来年度からは40歳以上の国民を対象に特定健診が実施されることになり、糖尿病の早期発見、生活習慣の改善により重症化を予防し、医療費を削減しようとするものであります。
更に、これから県が中心となって医療計画や医療費適正化計画などを策定することになっています。地域の実情を踏まえた保健医療の将来ビジョンを描き、地域住民が真に安心できる保健医療の提供体制を構築していくことが求められています。
そのために鳥取県医師会としては、日本医師会そして各地区医師会と連携し、国や県の保健医療施策に対しては、学術専門団体の立場から積極的に関与すべく、意見を述べていきたいと考えております。
今、医療界はドラスティックに改革されようとしています。しかし、どのような時代にあっても、我々鳥取県医師会は、世界に冠たる国民皆保険制度を堅持し、県民の保健と医療を守るという使命は何ら変わるものではありません。
本日、新制医師会創立60周年の節目を迎え、数多くの諸先輩達が残された功績に想いをはせながら、今後とも、医道の高揚、医学医術の発達、公衆衛生の向上に努め、社会福祉、地域医療の向上のために全力で取り組んで行く決意を新たにするところであります。
医師会活動について皆さま方の、なお一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、式辞と致します。本日は、有り難うございました。