健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  8)眠れず、食欲なく、毎日不安

質問

68歳、女性。32歳出産時に胎盤早期剥離(はくり)で輸血をしました。1月後、からだがえらく、寝汗が出たりで入院もしました。でも次第に良くなり、20年ほどは働きましたが、年をとるとともにまた悪くなり、7年前に肝臓が悪いといわれています。現在GOT32、GPT32、ZTT14.6。医者は気にしない方が良いというのですが、夜眠れず、食欲もなく、毎日不安で、いつも頭の中が曇っているみたいです。頭の神経が弱ってしまったのでしょうか。現在内科と精神科のくすりをのんでいます。

回答

◎不定愁訴症候群、仮面うつ病

まず初めに肝臓についてお話しします。現在の肝臓機能検査でZTTが異常な値を示しています。この検査は血液中のガンマーグロブリンが多いことを示していて、からだのどこかに慢性の炎症があることを示しています。あなたが過去に輸血を受けていらして、肝臓が悪いといわれたことがありますから、慢性肝炎があるのでしょう。でもGOT、GPTとも現在すでに正常ですからあまり気に病むことはないのです。でも肝臓がんの予防のため、定期的に超音波検査や血液の検査を受けることが大切です。

さて現在のあちこちが悪いという状態ですが、不定愁訴症候群といわれる神経症のようなものか、あるいは仮面うつ病のようなものかもしれません。慢性の肝臓障害ではこんな症状が起こり易いともいわれますが、肝臓自体は今ほとんど問題ないので、あなたの主治医のいうようにあまり気にしないのがよいのです。症状の中心をなしているのは不安であり、こんな場合根底には欲求不満があることが多いともいわれています。思い当たるようなことはありませんか。もしそうでしたらそんな心のもち方を、あるいは生活の在り方を変えてみてください。

眠れない、眠れないがとても気になっているようですが、それを気にしているあまり、また余計に眠れないということもあります。明日朝、何時に何をしなければならないという立場でもなさそうですから、眠れないにあまりこだわらないでください。精神科の医師の診察も受けているようですから、よく相談してそのままその医師たちの指導を受けていたらきっと良くなります。

(県医師会・北室文昭)