健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  7)自律神経失調症

質問

30代前半の男性です。10年前に、過換気症候群で救急車で病院に運ばれました。その後、浮動性めまい、筋収縮性頭痛などが続き、ひどい時は、乗り物酔いのような症状で、外出はもちろん歩くこともできません。内科、耳鼻咽喉科でCTなどの諸検査も受けましたが異常なく、自律神経失調症と診断され抗不安薬などの投与を受けています。

しかし、症状はあまり改善せず、十分に仕事もできません。また、このまま薬を飲みつづけて良いかも心配です。自律神経失調症の治療法、相談機関(就職などについて)などを教えてください。

回答

◎相談できる相手が必要

多くの医師は、「全身の倦怠(けんたい)感や頭痛、頭重、めまい、胃腸の不快感などいろいろな身体の異常を訴えるのに、諸検査では異常がない、とはいえ神経症やうつ病でもない」という時、自律神経失調症という診断をつけているのだと思います。つまり、自律神経失調症とは、一つの病気をさすのではなく、不定愁訴の集まりです。ですから、自律神経失調症の治療法は、その人の症状(頭重、胃腸障害など)や、体質(血圧が低いとか、冷え性気味だとか)、性格傾向(身体の変化を気にとめやすいなど)、環境的な要因(家族や仕事でのストレスなど)などを考慮して行う必要があります。

最初に重要なのは鑑別診断です。器質的疾患や内分泌系疾患などさまざまの身体疾患や神経症やうつ病でも自律神経失調症状は出現してきます。治療としては、抗不安薬を中心に昇圧剤、自律神経調整薬などの薬物療法が主体ですが、漢方薬も効果的です(とくに冷えの傾向の強い人など)。

ただ、症状が長期化していますので、「症状を治す」と言うことだけでなく、「症状といかに付き合うか」と言うことも大切になってきます。そういう意味でも、病気や薬だけでなく就職など生活全般にわたって相談できる相手が必要かと思います。保健所で行われている「心の健康相談」などで一度相談されることをお勧めします。

(鳥取県立精神保健福祉センター所長・原田 豊)