健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  4)不眠

質問

70歳、男性。もともと神経質できちょうめんな性格のため寝つきが悪く、寝る前に睡眠薬を飲んでいます。しかし、必ず夜中に目が覚め、トイレの後1時間以上眠れないため、再度、睡眠薬を服用しています。何か良い方法があれば教えてください。

回答

◎主治医と相談し睡眠薬の調整を

一般に睡眠を促すための工夫としては、昼間適度に体を動かし、昼寝などをしない。空腹のまま、あるいは食べ過ぎの状態で寝床に就くことをしない。寝る前や途中目が覚めたときに温かい飲み物や少量の炭水化物をとることにより神経を和らげ、眠気を誘う、などがあります。さらに30分ぐらいたっても眠れない場合は、しばらく本を読んだり、テレビを見たりする。人によっては眠れない焦りを軽くするためいったん寝床を離れ、疲れを感じるようになってから寝室に戻ったほうがよい場合もあります。

寝室の環境においては、部屋の明かりを落とし、心の安まる音以外の騒音は避けるようにします。また室温は、自分が快く感じられる室温に保つようにします。マットレスは堅めのものがよいようです。これらの工夫をして、不眠が改善しない場合は、不眠の原因、性質に適した薬の服用が必要です。

不眠はその現れ方によって、寝付きにくい、途中で目が覚めてしまう、朝早く目が覚める、熟睡感が得られないなどのタイプに分けられます。これらは単独に現れる場合もありますが、組み合わさって現れる場合もあります。不眠の原因には身体の病気から来るもの、うつ病などの精神的な病気から来るもの、老人性のもののほか、はっきりした原因がなく、神経質な性格の人に多い神経質性不眠も数多くみられます。

現在、不眠の治療によく使われている睡眠導入剤は、薬の作用する時間によって短時間作用型、中間作用型、長時間作用型に分けられます。短時間作用型は作用時間が短いので、寝つきが悪いタイプや、熟眠感が得られないタイプに適しています。長時間作用型は、途中で目が覚めたり、目覚めが朝早すぎるタイプに適しています。中間作用型はその中間的性質を持っていますが、どちらかというと長時間作用型に近い使われ方をします。

このように、睡眠導入剤といってもさまざまな種類があります。現在、睡眠導入剤を服用されているにもかかわらず、途中で目が覚めてしまうなどがあれば、自分の状態をよく主治医に話し、薬を調整してもらうことも大切でしょう。

(鳥取県立精神保健福祉センター・花房郁子)