健康ア・ラ・カルト

【19)男性の健康問題】  3)陰部の鈍痛と血液の混じった精液

質問

65歳、男性。22歳ごろ事故で睾丸を強く打ったことがあります。以来、しばしば睾丸に鈍痛がありましたが、そのうちに苦にならなくなっていました。しかし、3年前より睾丸に鈍痛が起こり、血液の混じった精液が出てびっくりしました。病院で種々の検査を受けましたが、異常は見当たらないといわれ、睾丸に腫れも熱もありません。痛みは睾丸だけでなく、足の付け根や下腹にもあり、薬も変えてもらっていますが、効果がありません。良い治療とアドバイスをお願いします。

回答

◎慢性前立腺炎は自己管理も必要

今の症状は精巣(睾丸)の打撲とは関係なく、慢性前立腺炎によるものと思います。この病気は細菌性のものと非細菌性のものがあり、前者は抗菌剤の服用で治りますが、後者の非細菌性慢性前立腺炎(前立腺痛症を含む)は難治性で、未だその病態は明らかでなく、診断と治療も確立しているとはいい難く、泌尿器科医にとっても悩ましい病気の一つです。従って、治療も決まった方法がある訳ではありませんが、一般に抗菌薬、向前立腺用薬、向精神神経薬、漢方薬の内服や前立腺マッサージ等が行われています。

しかし、一方患者の自己管理も必要です。すなわち、日常「骨盤内の充血を避けるために1時間以上長く座っていない」「酒や刺激物は慎む」「水分は多めにとって、尿意は我慢しない」「性交は淡白に」「重いものを持ったり、押したり力むことを避ける」等を1カ月くらい一般的治療と共に試みてはどうでしょうか。

この病気は深刻なものではありませんが、患者にとっては耐え難い不快なもののようで、時には心身医学的手法や精神療法が必要となる場合もあります。まずは心配な病気ではなく、症状が軽ければ放置しても良い事を理解することです。

(谷口病院院長・西尾徹也)