健康ア・ラ・カルト

【18)小児の健康問題】  3)子供のつめかみ

質問

現在、小学校4年生の男の子ですが、2年くらい前から見るたびにつめをかんでいて、今ではつめが小さくなっています。注意しても一向に治る兆しがありません。つめをかむ以外は至って健康な子供です。このまま治らないのではないかと心配しています。最近では、家族間で対応に食い違いが出てきました。今後の家族の対応はどのようにすればよいか教えて下さい。

回答

◎専門医に相談、環境要因・体質要因の有無を

子供は、発達の過程でさまざまな癖や行動を示します。そのほとんどは、一過性のもので発達段階が進むにつれて自然に消失してゆきます。ただ、子供の環境要因(親子関係、学校、友人関係など)になんらかの問題があり、精神的緊張や不安が継続していると、癖や行動が慢性化します。社会生活に支障をきたすような癖や行動を神経性習癖(習癖異常)と呼びます。

ご質問のつめかみは、7歳~10歳ぐらいの時期には頻度が高い習癖ですので、それがあるというだけで病的とは言えません。特別な干渉を避け、自然の経過をみていくうちに数カ月で消失してゆくものがほとんどです。ただ、お問い合わせのお子様の場合は、経過が長く、症状も強くなっており、さらに家族間で対応の方針に食い違いが出はじめていますので、一度専門医に相談され、環境要因の有無、体質要因の有無などについて検討を行ってもよい時期だと思います。

これまでカウンセリングに来院された方の中にも、子供の習癖に過度にとらわれ、注意、叱責(しっせき)を続け、子供にストレスがかかり悪循環を起こし、癖がひどくなっているお子さんもありました。さらには、習癖異常(つめかみ、指しゃぶり、チック、抜毛症、性器いじりなど)それ自体に悩み、複雑な感情を抱いて受診する子も少なくありません。子供との触れ合いを通し、子供の気持ちを受け止めることで症状が消失してゆくことも少なくありません。

つめをかむことで、この子は何を訴えようとしているのかを考え、これを機会に本人を取り巻く人間関係を再検討してみてはいかがなものでしょうか。

(東部医師会員・石谷暢男)