健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  3)ちょっとした事で赤い顔に

質問

中学3年、女子。半年くらい前から、ちょっとした事で顔が赤くなるようになりました。ほとんど男子とも話さないので、男子に話しかけられても赤くなります。原因、そして治す方法を教えて下さい。

回答

◎恐怖症

理屈ではそれ自体が自分に危害を及ぼすものではなく、それほど怖がる必要もないと分かっている相手や状況に対して強い恐怖感をもつものを、「恐怖症」といいます。

恐怖感の強い状態になると、胸がドキドキしたり、脈が速くなったり、発汗、吐き気、手の震え、赤面といった身体的症状が見られ、時には強い不安や混乱を起こすパニック状態になることもあります。

どんなものに恐怖感を抱くかは、人によってさまざまです。人と会うのが怖い対人恐怖から、高い所が怖い高所恐怖、とがった物が怖い尖(せん)端恐怖、エレベーターの様な狭いところが怖い閉所恐怖、そして異性が怖い異性恐怖などなど。緊張すると顔が赤くなる、そしてそれが不安で、緊張する場面に出にくくなるのは赤面恐怖です。

こういった恐怖症の人の中には、小さいころからそういった傾向があったという人もいれば、もともとはそういった症状は無かったという人もいます。また、過去にある状況下で原因の有無にかかわらず強いパニック状態になったという体験があると、その次からは、「同じような状況になるとパニック状態になるのではないか」という不安や恐怖感を強く抱いてしまい、同じ状況やよく似た場所に行くことに拒否的になるということもあります。

治療の仕方は、その恐怖対象の内容や生活への影響度によっても変わってくると思います。経験的には、あまり強引に自分が恐怖体験を感じるような事は避けて、少しずつならしていけば、徐々に軽快してくるものです。

赤面恐怖や対人恐怖であれば、話しやすい人や話しやすい人数、話しやすい環境を選んで、少しずつ自分は大丈夫なんだという安心感や自信をつけていく方がいいのでしょう。まだまだ若いですから、そういった経験の中から、年齢がたつにつれ、まだまだ症状は良くなっていくと思います。

それから、恐怖症の中には不安や緊張感、身体症状に対して積極的に抗不安薬を使ったり、あるいは自律神経症状を抑えるために漢方薬などを使ってみることもありますが、それはケースバイケースといったところです。

(鳥取県立精神保健福祉センター所長・原田 豊)