健康ア・ラ・カルト

【18)小児の健康問題】  1)目覚め悪く、だるい娘

質問

41歳、女性。中学1年の娘のことで相談します。体格もよく血色もいいのですが、朝の目覚めが悪く、体がだるいと言って何日も学校を休んでいます。ときどき腹痛を訴え、内科に受診しましたが、どこも悪くないと言われ、薬も出ませんでした。今後どう対処したらいいでしょうか。

回答

◎神経症か不登校の兆し

内科で異常がないとのことですので、身体的な疾患はないものとしてお話します。起立性調節障害症と不登校の前段階が考えられます。

◆起立性調節障害症◆

起立性調節障害症は主に小学校の高学年・中学生の女の子に多く、小児の自律神経失調症です。朝起きた時、末梢神経が緊張せず血液の循環が悪く、血液が下半身に滞り脳への流れが悪く、めまい、頭痛、腹痛が起きるのです。このような症状は午前中に多く、特に夏の暑い時はひどいようです。また車酔いする人に多くみられるようです。薬での治療が効果があります。

◆不登校の前段階◆

不登校の初期には体がだるい、めまい、頭痛、腹痛を訴える場合がよくあり、やがて、いじめられる、勉強が面白くない、給食がまずい等と訴えます。特に月曜日、連休、夏休み、冬休みの後にこのような状態になることが多いようです。

不登校は本人の素質と両親をはじめとする家庭環境、保育園、幼稚園、学校等の社会環境が大きく影響します。本人の素質、社会性の不足、自己中心的な性格、情緒不安、母子分離不安、いじめ、成績不振も原因になることがあります。それぞれに適した対応の仕方が必要で、それには小児科医、精神科医、児童相談所等の専門機関への受診をお勧めします。

(中部医師会員・岡本博文)