健康ア・ラ・カルト

【6)消化器疾患】  8)A型肝炎とは

質問

35歳の息子のことでご相談申し上げます。息子は今まで元気に働いていましたが、急に黄疸(おうだん)が出て入院しました。主治医の先生はA型肝炎という診断で、順調に経過しているので心配ないと言われました。しかし、将来、肝硬変や肝がんになるのではないかと不安です。A型肝炎とはどんな病気なのかお教え下さい。

回答

◎慢性化しないA型肝炎

ご質問を読ませていただきますと、子供を思う親心はいつまでも変わらないと痛感いたします。しかし、お医者さんをもっと信頼していただきたいと思います。結論から言いますと、主治医のいわれるように息子さんは完全に治癒し、肝硬変などに進行することはありませんのでご安心下さい。

A型肝炎は、以前は流行性肝炎と呼ばれていた肝臓病で、日本では冬から春にかけて流行します。A型肝炎の原因はウイルスですが、B型とC型肝炎が主に血液によって感染するのとは異なり、汚染された二枚貝などの生食などによって感染します。

A型肝炎は感染から約1カ月で発病しますが、典型的な場合には発熱、食欲不振、全身倦怠感などが続いた後に黄疸が出現します。一般に子供では症状が軽く、腸感冒と間違われる程ですが、大人になって感染すると、症状がひどく黄疸が出現することが多く、高齢者ではまれに腎臓の障害を併発して重症になることがあります。

A型肝炎は通常1カ月位で完全に治癒します。まれに回復に時間がかかったり、一度良くなってから再び悪化する人がありますが、B型やC型肝炎のように慢性化することはありません。息子さんは現在順調に回復されているようですので、主治医の先生を信頼して退院されるのを待っておられればよいと思います。

(鳥取大学医学部第二内科・周防武昭)