健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  8)初期のリウマチ

質問

73歳の女性です。朝起きた時、両手の親指のつけ根と手首が痛くて、思うように炊事ができません。時間が経過すると少しは曲げることもできます。膝の関節も同じようです。血液検査でリウマチの初期と言われ、病気が進まないようにと1日1回薬を内服しています。良くなる薬や治療法を教えて下さい。

回答

◎根気強く治療を

お尋ねの方の病気は、朝起きた時に症状が強く、多くの関節それも両方の同じ関節に症状があること、そして血液検査でリウマチの初期と言われたことなどから、慢性関節リウマチ(以下リウマチ)がもっとも考えられます。関節の腫(は)れの状態がわかりませんが、長く続いた腫れがあれば、リウマチの診断は確実です。リウマチは20~50歳代の女性に発症しやすい病気ですが、高齢になって発症するリウマチが最近増えています。

リウマチの基本的な治療は、適度な安静と運動です。病気の進行を抑えるためには、痛みのある関節を過剰に使わないよう心がけることです。しかし、過度の安静は関節の動きを悪くしますので、痛みの我慢できる範囲内で関節を動かす必要があります。入浴中とか入浴後には関節は動かしやすくなりますので、こうした時に全身の関節をゆっくり動かしてやるのが良いでしょう。この運動によって疲れが出ない場合には、運動量を増やして午前と午後に1回ずつ同じ運動を行うと良いでしょう。運動量の目安は、運動後や就寝時に大きな疲労を感じない程度として下さい。起床時の手の痛みや動きにくさは、お湯と水道水をそれぞれ入れた洗面器に交互に手を入れて、握ったり伸ばしたりすると効果的です。

治療のもう一つの大きな柱は、薬物による治療です。リウマチによって起こった血液の中のタンパク質の異常をなおして、リウマチを確実に抑えることのできる薬がいくつか出てきました。医師は患者さんの病状に応じて使い分けますが、いずれの薬も副作用の出る可能性がありますので、薬の効能と副作用について十分説明を受け、指示通りに服用すること、そして万一副作用が出た場合には、早めに診察を受けることが重要です。悲観的にならず、自分の治療内容をよく知った上で根気強く治療を受けて下さい。

(鳥取大学医学部整形外科・豊島良太)