健康ア・ラ・カルト

【16)耳・鼻・のど】  7)頭部打撲で耳鳴り?

質問

75歳の女性。耳鳴りで悩んでいます。23年前、頭を打ったことがあるので、後遺症ではないでしょうか。また、補聴器でも聴こえにくいことがあります。

回答

◎聴神経腫瘍

耳鳴りは、音が入らないのに音を感じることです。神経の自家放電と考えられていますので、防音室のような静かなところでは、だれでも耳鳴りを経験します。

頭のけがやむち打ちの直後に耳鳴りが始まれば、関係はかなり濃厚です。しかし、何年もたってから起こった耳鳴りでは、因果関係はないでしょう。

耳鳴りが脳の病気の始まりのことは、まれにあります。聴神経腫瘍(しゅよう)が代表的な病気ですが、片耳の耳鳴りや難聴で始まる良性の腫瘍です。まれといっても見逃されては困りますので、まずこの点を否定してもらうことが大切です。

耳鳴りは聴覚系統の異常の前兆ですので、必ず聴力検査をします。

聴力は30歳を過ぎると、だんだんに高い音から聞こえなくなります。ご高齢の方の聞こえ方の特徴は、両方の耳が同じように聞こえなくなります。

疲労、不眠、興奮は、耳鳴りを悪化するので、これらに効く薬がよく使われます。音を聞くことでも耳鳴りが消せます。耳鳴りの治療法の一つでもあります。したがって、補聴器にも耳鳴りを消す役割がありますが、耳に合う調整が必要です。ご近所の耳鼻科の先生に相談されるとよいでしょう。

(鳥取大学医学部耳鼻咽喉科・生駒尚秋)