健康ア・ラ・カルト

【4)気道と肺】  7)サルコイドーシス

質問

68歳の女性です。2年前から眼のかすみがはじまり、そのうちに視力も低下してきました。眼科を受診したところ、サルコイドーシスと診断されました。全身病とのことでいろいろな検査を受けましたが、他は大丈夫といわれました。今は治療によりずいぶんよくなりましたが、はじめて聞いた病名なので心配しています。サルコイドーシスとは、どんな病気なのでしょうか。

回答

◎炎症性疾患で原因は不明

サルコイドーシスは炎症性(臓器を傷害するような有害な刺激に対する体の防御反応)の疾患で、原因は不明です。ときに家族発生がみられますが、原則として遺伝したり、伝染したりすることはありません。

罹(り)患臓器は肺、眼、リンパ節、皮膚、心臓、脳・神経系などにわたり、複数の臓器に同時にみられることもあります。このため、全身疾患としてとらえられます。多くは胸部レントゲン検診や眼の症状で発見され、特有の臨床、検査所見や病変部の組織検査(病変の一部を採取して調べること)で診断されます。

経過は症例により大きく異なります。急速に発症し、2、3年以内に治癒する群と、慢性化し、治癒し難い群があります。原則として、無症状の症例は無治療で経過を観察し、自覚症状や臓器障害のある症例では、病状に応じてステロイド薬が投与されます。

サルコイドーシスの眼病変は多彩ですが、質問の眼の症状はサルコイド性ぶどう膜炎と考えられます。他にも検査を受けられて異常がなく、眼病変だけとのことですが、肺や皮膚など他の部位の病変が必ずしも平行して現われるわけではありません。もちろん、眼だけに限局して経過する症例もありますが、全身性の疾患ですので、血液検査、胸部レントゲン検査、心電図などは定期的に受けておかれたほうがよいでしょう。

現在のところ、適切な治療により快方にむかっておられるようですが、薬の減量中や中止後に再び悪くなることがあります。医師とよく相談しながら慎重に経過をみてください。

(鳥取県立中央病院内科・小濱美昭)