健康ア・ラ・カルト

【3)心臓と血管】  6)足裏のほてりや足指の痛み

質問

72歳の女性ですが、2年前にペースメーカーを植え込みました。そのころから足の裏がほてるようになり、ふろに入るときも、焼けるような感じがするようになりました。半年ほど前からは、足の指がしびれズキズキして痛みがあり、夜も眠れません。どうしたらよいでしょうか。

回答

◎ペースメーカー症候群

私たちの心臓は休むことなく、規則正しい拍動を繰り返し、身体のすみずみまで血液を送り出しています。何らかの原因で心臓が止まったり、あるいは拍動数が低下した場合、疲れやすくなり、ひどい場合には意識を失い、心不全など重篤な状態に陥ります。

ペースメーカーはこのような心拍数の低下した方に植え込まれ、規則正しく拍動するように電気刺激を与える器械です。ですから、ペースメーカーを植え込むだけで、このような方々は全く正常な日常生活を過ごし、仕事も十分に出来るようになります。

ペースメーカーを植え込んで元気になるのは当然ですが、まれにペースメーカーを植え込んだ後、植え込む前より疲れやすくなったり、動悸(き)を自覚するようになる方がいらっしゃいます。このように、ペースメーカーを植え込んだ後生じるさまざまな不都合な自覚症状を、ペースメーカー症候群とよんでいます。

これは、洞不全症候群の患者に心室ペーシングをおこなったときに生じることが多く、その原因は正常とは逆に、心室の刺激が心房に伝導するため、心室が収縮した後心房が収縮し、心拍出量が著明に減少し、心房圧が上昇することにあります。

このような問題を解決するためには、洞不全症候群の場合には心房ペーシングか、房室ペーシングをすることが望ましいのです。あるいは、心室ペーシングをおこなうときにはペーシングの拍動数を減らし、多くの心拍を自己の拍動になるようにすれば症状は軽くなります。

ご質問の方のような症状は下肢の異常知覚、あるいは知覚過敏であり、なんらかの末しょう神経の障害が推定されます。ペースメーカー植え込みとの関連は薄いと考えられます。主治医の先生とよく相談され、内科、あるいは神経内科の受診をお勧めします。

(鳥取県立中央病院循環器科・坂本雅彦)