健康ア・ラ・カルト

【17)眼】  6)眼圧が正常上限

質問

眼圧についてお尋ねします。白内障の手術後ですが、最近眼圧の値が正常上限に近いと言われ、心配になりました。早期治療として眼圧を下げることが必要でしょうか。糖尿病もあります。

回答

◎緑内障、定期的にチェックを

眼球内では眼内の組織を栄養する水(房水)が一定の割合で循環しています。これにより眼球は程よい硬さを保つことができます。ところが、房水の流れが悪くなると、眼球内の圧力(眼圧)が上昇し、視神経を傷つけ、見える範囲(視野)が狭くなっていきます。これが緑内障です。眼圧の正常値は10から20mmHgの間とされていましたが、最近では眼圧が20mmHgを超えない緑内障も多数あることがわかり、早期発見のためには眼圧検査とともに眼底検査で緑内障性の視神経障害の有無を調べることがとても大切になりました。

ご質問によれば、眼圧が正常の上限値に近いとのことですが、視神経に異常がなければ、治療は必要ありません。視神経に緑内障性変化が始まっているのであれば、すぐに治療を始める必要があります。視神経に緑内障性変化があるかどうかは、主治医の先生にお確かめ下さい。

今までは一般的な緑内障のお話ですが、糖尿病の患者さんは糖尿病網膜症の進行に伴って発症する悪性の緑内障があります。これはレーザー治療が十分に行われていない眼に起こります。白内障手術を契機にして急激に出現することもありますので、定期的に眼圧、眼底のチェックが必要となります。

(鳥取県立中央病院眼科・伊藤久太朗)