健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  6)坐骨神経痛

質問

43歳の女性。2年前に坐骨神経痛にかかり、3カ月仕事を続けながら通院治療し大変つらい毎日でした。

現在は治っておりますが、時々左のおしり辺りにしこり(痛み)を感じることがあります。このしこりは治療により治るものなのでしょうか。また坐骨神経痛がどうして起きたのか、どのような病気なのか、教えていただけませんでしょうか。

回答

◎急性期には安静

坐骨神経痛は腰部脊椎=せきつい=(腰椎)の間から出て臀部(おしり)、大腿(たい)後面、下腿、足に向かって枝を出しながら走っている神経です。

この神経にいろいろな原因で圧迫や炎症がおき、神経走行に沿って痛みが生じた時、坐骨神経痛と診断されます。坐骨神経痛の原因は年齢、性別、職業歴、スポーツ歴などで異なりますが、40代で多いのは腰椎と腰椎の間にありクッションの役目をしている軟骨が突出して神経を圧迫する腰椎椎間板ヘルニアや、一定のカーブを持って配列している腰椎がずれて中を走っている神経が圧迫される腰椎すべり症など腰に原因があるものが多いようです。

その他、下肢の神経痛は骨盤や股関節の障害でも生じますし、内科的、婦人科的病気が原因のこともありますので、かかりつけの医師を再受診し坐骨神経痛の原因をはっきりさせた上で、今も時々あるしこり(痛み)の治療を考えるのが最良と思います。

治療は一般的に痛みが強い急性期には安静にして寝ているのが一番大切です。その上で鎮痛剤の内服や坐薬を使用し、注射、治療用コルセット装用などを行います。

回復期になれば腰に負担のかからない日常生活動作を身につけ、予防と治療を兼ねた腰痛体操を正しく毎日行うことにより痛みは徐々に軽快しますが、たびたび再発を繰り返す人や入院治療でも治らない人は手術的治療が必要な場合もあります。腰椎は身体の中央に位置し身体を支える脊椎の土台部分ですのでいったん坐骨神経痛を生じるような障害がおきると慢性化しやすいので腰の具合の悪い時は重い物を持たないようにしたり、中腰の姿勢を長くとらないように心がけ、これから寒くなる季節には特に腰を冷さない注意も必要となります。

(鳥取赤十字病院整形外科・福島 明)