健康ア・ラ・カルト

【2)脳と神経】  5)ふらつきとめまい

質問

82歳、男性。高齢のせいでしょうか、このごろ頭がぼーっとし、ふらつき、めまいがします。ことに起床時には、この症状は強くでます。歩行時もふらつきます。医師にみてもらっていますが、すっきりしません。血圧は低く、胃弱があります。なにかよい治療法はないでしょうか。

回答

◎神経内科で脳血流診断を

「めまい」には、大別して、くるくる回る回転感と、よろよろふらふらするふらつき感があります。回転感には、眼振がみられ、ふらつき感には血圧異常がしばしば伴います。

回転感には、耳の神経(内耳)と脳神経の異常が、ふらつき感には、血液異常(貧血)、血圧の変化(低血圧)や頚部筋肉の緊張の変化が密に関連しています。

したがって、めまいの原因を調べる時、まず血液、立位と臥位の両方の血圧、心臓機能、さらには頚椎(けいつい)骨写真、内耳、脳神経へと検査をすすめます。

さらに、服薬中の薬(例えば、H2ブロッカーのガスターや精神安定剤)の副作用がめまいの原因でないか、疑ってみなければならないときもあります。

ご質問のめまいは低血圧と脳血流の不足によるふらつき感ではないかと思われます。水分を十分とり、昇圧剤を併用されれば、めまいはある程度よくなるでしょう。

高年齢を考慮すれば、繰り返すめまい、すなわち脳血流循環不全(不足)で脳の変化(梗塞)を作ってしまっていないか脳の画像(CT、MRI)の検査を受けられることを勧めます。さらに、内耳や頚部とめまいの関係を頚のレントゲン写真、脳波(ABR)などの精密検査で検討してもらわれることをお勧めします。

血液や心電図の検査はすでにお済でしょうから、今一度、神経内科への受診をすすめます。めまいを総合診断し、適切な治療がなされることと思います。

(鳥取県立中央病院神経内科・深田忠次)