健康ア・ラ・カルト

【Ⅰ.健康セミナー】  4.頭痛―治療できる頭痛、治療しなければならない頭痛

神経内科とは

神経内科というのは最近発展したもので、あまり知られてないかもしれません。頭痛、めまい、しびれ、痴ほう症、脳卒中などの疾患で、多くの病気を扱う科です。

頭痛の原因

頭痛を軽んじてはいけないし、悲観することもありません。何科にかかっていいのか分からなければ神経内科に行っていただきたい。頭痛を分析すると、半数の人は緊張型頭痛です。ストレス、肩こりに伴って起こることが多く、首の後部から後頭部を圧迫するような痛みが持続的にするものです。

規則正しい生活の心がけを、症状をチェックし適切な判断を

過労を避け、規則正しい生活を送り、睡眠時間を十分にとる。ストレスを避ける。適度に運動して正しい姿勢に心がけることは、肩こりの予防に有効かと思います。

片頭痛

比較的若い人に多い傾向があり、日本人の 5%から10%弱が片頭痛の頻度だろうと思います。前兆を伴わないものと伴うものが大きな分類になります。動けばひどくなる傾向があり、嘔吐したり、光に対して過敏になったり、音に過敏な特徴を持っています。

前兆を伴う片頭痛は、脳のどこかを意味するような症状で、目で見える視覚性の前兆がよく知られていますが、脳の一部の血液の流れが悪くなっている所見が見受けられます。しかし、キラキラ光るものが見えて拍動するような頭痛だけで片頭痛と決めつけてはいけません。

血管の流れが悪くなって起こる血管説と、神経の働きがおかしくなって起こる神経説、三叉神経と血管が悪いから起こる三叉神経血管説という三つの考え方があります。ストレスがかかった時にセロトニンが血中に放出され、血管が収縮。その後、セロトニンが代謝され急激に減ると、血管は急激に広がり痛みが起こるというのが血管説です。

神経説は、神経細胞そのものが悪く、視覚を感じる後頭部の組織が悪くそういう症状が起こるというものです。もう一つ、何らかの刺激が三叉神経に働くといろんな物質が出て、頭痛が起こるというのが三叉神経血管説です。

緊張型頭痛

後頭部を圧迫するような、縛るような痛みが緊張型頭痛です。髄膜炎とかいろいろなものとの鑑別をしなければいけません。ストレスによって頭の周りの筋肉が収縮して起こってくると考えられます。睡眠不足、精神的ストレス、肩こり、過労のない生活が大事と思います。薬物療法だけではなく、運動とかストレスを除くことが重要です。

肩こりは緊張型頭痛以外に首の骨がおかしいとか消化器、循環器、呼吸器などの疾患でよく起こりますから、肩こりを長期間訴えられる場合、こういうチェックも必要と思います。また、脳の循環が少し悪い状態の時、頭痛、肩こり、目まい、しびれ、うつ症状を訴えられるものです。緊張型頭痛、肩こりはいろんな内臓疾患が起こっていることもありますから、そういう症状が持続する時は医療機関で相談していただきたいと思います。

急いで原因を調べなければいけない頭痛

これまで経験したことのないような頭痛、急に起こった頭痛、だんだん悪くなる頭痛もよく調べなければいけません。また、神経症状を伴う頭痛もすぐに調べる必要があります。脳腫瘍でも頭痛を訴える場合があります。お年寄りで頭痛や軽い麻痺、最近ぼーっとしてきたというような方は硬膜下血腫も考えられますからチェックしていただきたいと思います。発熱、嘔吐、首が固くなる症状を訴える場合には髄膜炎が考えられますから、すぐに医療機関に行って診察を受けることが大事と思います。

(鳥取大学医学部脳神経内科教授・中島健二)