健康ア・ラ・カルト

【4)気道と肺】  4)繰り返す自然気胸

質問

21歳の会社員です。3年前に自然気胸になり、現在までに4回再発しています。右1回、左3回のうち、左2回目でカメラでの手術を受け、気腫(しゅ)性嚢胞(のうほう=ブラ)を取りました。しかし今年4月に、左3回目の再発をしました。まだ右にもブラがついています。なるたびにチェスト・ドレーンという管をつけています。治る方法と原因を教えて下さい。

回答

◎ケースバイケースで治療法を選択

自然気胸とは肺に穴があいて虚脱してしまう病気で、いわゆる〝肺のパンク〟です。多くは肺表面にできた気腫性嚢胞という小さな袋がはじけて、空気が胸腔(くう)内にもれてしまうことが原因ですが、なぜブラができるかははっきりわかっていません。

治療は胸腔内にドレーンを入れて脱気する胸腔ドレナージという治療法がまず選択されますが、この治療のみでは約50%が再発すると言われ、手術によりブラを切除することが最も確実です。

近年では、胸腔鏡の普及により低侵襲でブラを切除することが可能となりましたが(図)、一口にブラといっても単発か多発か、小さいか大きいかによって治療の難易度が異なり、10%前後は術後再発をします。

状態によっては、薬によって胸膜を癒着させる方法もありますが、将来を考えれば安易な癒着は禁物です。ケースバイケースで治療法を選択するのがよく、胸部CT等でブラの状態を把握し、再手術(胸腔鏡手術も可能)がよいか、癒着療法を含めた保存的治療がよいかを判断してもらいましょう。

予防としては完全なものはありませんが、(1)禁煙(2)大気汚染(排気ガス等)をさける(3)風邪をひかない(4)十分な睡眠、栄養が大切と思います。

(鳥取大学医学部第二外科・中村廣繁)