健康ア・ラ・カルト

【12)感染症】  4)インフルエンザ脳炎・脳症

質問

33歳女性。5歳と3歳の子供を持つ母親です。インフルエンザワクチンのことでお伺いします。ワクチンをすれば恐ろしい脳症は防げますか。毎年何月ごろにすればいいのか、また効果はどれくらいの期間有効でしょうか。価格も教えて下さい。そして、脳症はどんな症状で始まるのでしょうか。

回答

◎10月ごろ、ワクチン接種し予防

インフルエンザの流行する季節には、よく似たかぜ様疾患がいろいろと流行します。またワクチンが重症化を防ぐとはいえインフルエンザは感染するとすぐ発病してしまうため、効き目がはっきり目に見えないことからインフルエンザワクチンの人気が極端に落ち込み、製造量も激減していました。

ところが昨年からインフルエンザ脳炎・脳症の怖さが指摘・宣伝され、流行が始まるとどっと接種希望者が増えたため、前年の倍以上も製造されていたワクチンでも品薄となってしまいました。インフルエンザがはやると、国内で最低でも数百人の子どもがインフルエンザ脳炎・脳症を発症し、20%以上が死亡するといわれています。

インフルエンザ流行期に子どもが急に高熱を出し、けいれん、意識障害を伴えば、私たちは第一にこれを疑います。この病気はお母さんたちの心配の種であり、医師にとっても毎冬訪れる最大の悩みでもあります。

それというのもこの病気の本態がまだ解明されず、有効な予防や治療の方法が確立されていないからです。

ワクチンの脳炎・脳症の予防効果については、千葉県・愛知県での調査や厚生省の全国調査でインフルエンザワクチン接種者には脳症・脳炎の報告はないのですが、好発の1~5歳児にはワクチンを受ける人が極めて少ないため接種していれば太鼓判だと統計的に決めつける程の力はない模様です。それでも私たちはワクチンに大きな期待をよせています。

またインフルエンザウイルスは毎年少しずつ性質が変わって行きますので、ワクチンが何年も効力を保つということはありませんので年々新たとお考え下さい。

価格については県内で1回3,000円から5,000円で行われているようですが(2回接種が必要)、保険外診療費を相談して価格統一することは公取委に禁止されていますので、相談して決めるわけにも行きません。毎年10月に入ったら接種することが望まれますが、かかりつけの先生に早めに相談されることをお勧めします。

(県医師会・岡空謙之輔)