70歳、女性。2、3年前より胸やけがあり、最近ひどくなりました。症状が強い時は、ものをのみ込んでも胸元が痛く感じることもあります。若い時は胃は全く悪くありませんでした。どうしたら治りますか。
◎高齢者に増加、逆流性食道炎
症状と年齢から逆流性食道炎が考えられます。60歳代から70歳代の方に最近増えてきた良性の病気です。
胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つけ、強い胸やけを起こすのが特徴です。ときには狭心症を思わせる胸痛や耳痛さえ起こします。食後横になると胸やけはひどくなり、夜眠れないこともあります。
腰や背中が曲がって前かがみになることも誘因になります。消化管透視で胃の一部が胸にはみ出る(裂孔ヘルニア)ことなども診断の参考になりますが、内視鏡による直接観察が最善です。今は電子内視鏡で細いファイバーを用いますと、苦痛もほとんどなく眼前のテレビ画面に、食道下部粘膜の発赤やただれ、ひどいと出血や潰瘍(かいよう)も見られます。平素なるべく腰を伸ばし、ベルトや帯をきつく締めない。脂肪の多いもの甘いものは控えて下さい。
降圧剤や鎮痛剤は、この病気にはよくありません。 H2ブロッカーあるいはPPIと呼ばれる系列の薬の処方を受けられると、症状はぐっと快くなりますので楽しみです。ただし症状がとれても治ったと早合点しないで服薬を続けて下さい。
(県医師会・西田龍之介)