健康ア・ラ・カルト

【7)腎臓と尿路】  3)夜間頻尿の温熱療法

質問

夜間頻尿(4回)のため、医師から入院治療を勧められていますが、付き添う家族も無く困っています。貴紙に温熱療法による外来治療の記事が掲載されていましたが、どのようなものでしょうか。また、鳥取県内でうけることが可能でしょうか。

回答

◎前立腺肥大症の治療

前立腺(せん)肥大症の治療は従来、軽度の場合は内服治療、尿が出なくなったり、残尿が多くなると経尿道的前立腺切除術や開放前立腺摘出術が行われてきました。

しかし近年、苦痛が少なく、より安全にできる治療法がいくつか開発されています。

温熱療法もその一つで、照射アンテナのついたアプリケータを経尿道的、もしくは経直腸的に挿入し、マイクロ波で前立腺を41度以上温めるものを温熱療法(図A)、RF波で45度以上に温めるものを高温度療法(図B)といいます。

温熱療法は温度が低い分だけ痛みも少なく、麻酔不要ですが、数回繰り返し照射が必要です。高温度療法は、局所麻酔下に外来での1回治療が可能ですが、治療後数日間のカテーテル留置を要します。どちらも前立腺を小さくする効果は弱いので、前立腺重量の大きい場合、尿閉や残尿が多い場合には適しません。

そのほかに、ごく最近開発されたものにレーザー前立腺切除術(図C)があります。経尿道的に挿入したプローブからレーザーで前立腺を照射すると、肥大した前立腺組織が2、3カ月後に消失します。入院を要しますが、術中・術後の出血がほとんどなく、局所麻酔でも可能ですので、付き添い等の心配はいりません。この治療も従来の手術療法ほど前立腺を縮小することはできませんので、軽度から中等度の前立腺肥大症に適しているようです。

以上の治療法は高温度療法を除いて、すでに鳥取県内のいくつかの医療施設で実施されています。ただ、いずれも健康保険で治療を受けることが出来ず、自費診療・高度先進医療による診療で行われています。

従来の前立腺手術でも、付き添いを必要としない場合も多いので、病期に適した治療法を医師とよく相談して下さい。

(東部医師会員・三宅茂樹)