健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  3)圧迫骨折

質問

74歳の祖母は10年前、道で後ろ向きに転んでしまい、腰の圧迫骨折になってしまいました。そして3カ月入院しました。その後も通院したり飲み薬、湿布薬をもらっています。コルセットもつけていますが、歩くのも困難です。何年たってもよくなりません。良い治療方法、痛みをやわらげる方法を教えて下さい。

また、両肩の関節筋が切れていますが、手術しなければならないでしょうか。

回答

◎骨粗鬆症の治療も

女性は50歳前後で閉経後にホルモン分泌が低下するため、年を経るにつれ徐々に骨がもろくなる骨粗鬆(そしょう)症になりやすく、転倒時に胸椎(つい)腰椎の圧迫骨折を生じます。圧迫骨折が生じると受傷直後から腰背痛が出現し、立ったり歩くことが困難となります。また横になって寝ていても、寝返り、咳、くしゃみの時などに痛みが増強します。胸椎、腰椎の圧迫骨折の治療は程度が軽い人は外来通院治療が可能ですが、痛みの強い人や脊椎(せきつい)の中を走っている神経に影響が出ている人は入院治療が必要となります。

治療は鎮痛剤(内服、座薬、注射)外用薬(湿布、ぬり薬)を使用し、骨粗鬆症が基礎になっていることがほとんどなので骨粗鬆症の治療も併せて行います。骨折部の痛みは以上の治療で徐々に軽快し、通常は2週間くらいで寝返りも楽になり、1カ月くらいで起座可能でトイレへも何とか歩いて行けるようになります。骨折部が治るまでに3カ月くらいかかりますので、その間重い物を持ったり、中腰になったりすると骨折部に力が加わり骨折の程度がひどくなったり、痛みが増強します。骨折部保護のため治療用コルセットをつけて起立歩行します。また老人の場合は他の疾病も合併していることが多く、受傷前に歩く時介助が必要だった人は、骨折の痛みがとれても歩くのが難しいこともあります。

両肩関節のすじが切れて痛いとのご質問ですが、外傷もないようですから、おそらく肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)と思われます。肩関節周囲炎の症状は衣服の着脱時に腕を動かすと痛い、腕を挙げられない、手を背中の方向に回せないなどです。痛みは昼間はわりと楽ですが夜間に増強し、寝返りの時などに痛くて目が覚めることがよくあります。手術的治療を行うことはまれです。治療は昼間や入浴後、痛みが少し和らいだ時に肩を動かす体操を指導してもらうのがよいでしょう。痛みのため動かさないでいるとやっかいな拘縮肩となります。肩関節周囲炎は時間はかかりますが根気よく治療を続ければ必ずよくなる病気です。

以上ご質問の2点とも現在かかりつけの医師とご相談の上、正しい治療を受けられるよう希望します。

(鳥取赤十字病院整形外科・福島 明)