58歳女性。10年ほど前から蛙の卵を思わせるような痰(たん)が出没します。2年前に風邪で寝込んでからは、夜間床につくと咳(せき)と緑色の濃い痰(たん)が出るようになりました。左背部に不快感あり、疲れやすくなりました。どうした病気なのでしょうか。
◎専門病院で早めに受診を
ご質問の症状は、非膿性粘性喀痰(かくたん)が10年ほど慢性に続き、2年ほど前から風邪をきっかけに夜だけ緑色の痰、咳と左肩甲骨下部の不快感ということだと思います。
肺結核など肺疾患の既往歴、タバコの喫煙歴、降圧剤の内服の様子、副鼻腔(びくう)炎など鼻の病気の有無、熱、体重減少など不明な点が多く気がかりです。しかし、一般に1カ月以上続く非膿性喀痰は、最初は40~50代に咳で始まることが多い気管支喘息(ぜんそく)、タバコが原因となる肺気腫などの慢性閉塞性(へいそく)肺疾患、慢性誤嚥(ごえん)、後鼻漏(こうびろう)、心臓の病気、それから肺の悪性疾患なども考えなければいけません。
しかしその後、夜だけの咳と緑色の痰が目立つようになったということから判断すれば、何らかの基礎疾患、つまり鼻疾患、慢性閉塞性肺疾患などをベースに、新たに気管支喘息の咳が発症し、それに二次感染が合併しているということが最も考えやすいと思います。気管支喘息は夜から明け方にかけた咳で始まり、喘息だけでも少し黄色い痰が出ることがあります。一度専門病院を受診し、痰の中の喘息の細胞(好酸球)の様子、気管支拡張薬吸入前後の呼吸機能の変化を検査すればその日の内に直ぐ診断され、咳喘息であれば治療で3日もすればすっかりよくなります。早めの受診をお勧めします。
(鳥取生協病院内科・菊本直樹)