健康ア・ラ・カルト

【17)眼】  2)目の奥の痛み

質問

68歳、女性。目を開けると片方の目の奥がしぼるように痛みます。2年前から体調を崩し、微熱、発汗、不眠、倦怠感、緑内障、白内障そして目の痛みと症状が出てきました。婦人科、眼科、脳神経内科(CT・MR異常なし)を受診しましたが原因が分かりません。精神安定剤を処方されていますが、副作用の少ない漢方薬の方がよいのではないでしょうか。

回答

◎顔面の痛みは三叉神経

目の奥が痛いということで最初に眼科を受診されたことと思います。緑内障・ブドウ膜炎・視神経炎・ヘルペス・ドライアイなどいろいろな目の病気で痛みが生じますが、ご質問者の場合、緑内障はあるものの受診の結果、痛みとは関係ないようです。

痛みに限らず、目の動きが良くなかったり、物の見え方が悪かったりして眼科的な診察を受け、その原因がはっきりしない場合には、耳鼻咽喉科や脳神経内科もしくは脳神経外科的な診察が必要となる場合があります。ご質問者の場合も脳神経内科でCT・MRIなどの検査を受けられて異常がないとのことです。

特に原因がなくて痛みがある場合には、目を含む顔面の痛みのひとつとして本態性三叉(さんさ)神経痛と呼ばれるものがあります。この神経痛の特徴は顔を動かす動作で誘発される発作性の激痛で、ある時間続いたあと消失し、間欠期には痛みがありません。治療としては鎮痛補助薬である抗けいれん薬や精神安定剤などの薬物療法が行われます。漢方薬も神経痛の治療に用いられますが、西洋薬と同様に副作用の心配がありますので漢方の専門の医師に相談されてはいかがでしょうか。薬物療法が奏功しない場合にはペインクリニックで神経ブロック療法を受けることをお勧めします。さらに本態性三叉神経痛は頭の動脈が三叉神経根を圧迫することによって起こるという考えに基づいて、脳神経外科で脳神経減圧術を行う場合があります。

(東部医師会員・桶川了二)