健康ア・ラ・カルト

【11)栄養と代謝の障害】  2)痛風での日常生活の仕方は

質問

56歳、男性。痛風があり、発作の時々に手当てを受けていますが、食事のことなどあまり指導を受けていません。食事や日常生活の注意について詳しく教えて下さい。

回答

◎食事は過飲過食避ける

すべての高尿酸血症を持つ患者は以下の点に注意して下さい。

(1)肥満の解消=痛風患者の50%以上に肥満があり、また血清尿酸値と体重には強い正の相関があります。痛風患者には過食の傾向があるのも事実で、肥満の解消のために、総カロリーを制限する(腹八分目)。食事内容は偏食を避けて多品目を少量ずつ食べる。ゆっくりかんで、時間をかけて食べる。現在ではプリン体制限の食事療法は従来ほど強調されません。長期にわたる厳密なプリン体制限は栄養のバランスを損う上に、現実的には不可能に近いようです。食事指導の主眼は質的制限よりも量的制限であり、過飲、過食を避けるようにしてください。

(2)アルコール飲料の制限=エタノールが代謝される過程で血清尿酸値が上昇しますので、どんな種類のアルコール飲料でも血清尿酸値を上昇させます。できるだけ節酒をして下さい。特にビールにはプリン体が多く、他のアルコール飲料よりかなり多く含まれていて血清尿酸値を上昇させる作用が強いので控えるべきでしょう。

(3)努めて水分を摂取する=水分摂取により脱水が回避される上、尿量が多くなると尿酸の排せつ量が増え、また尿路結石の防止にも有用です。

(4)軽い運動を行う=運動は、痛風患者に多い肥満の解消にも有用ですが、ウエートトレーニングなどの軽酸素運動は一過性に血清尿酸値を上昇させるため好ましくありません。しかしウオーキングなどの有酸素運動は血清尿酸値を上昇させず、よく合併する高血圧、高脂血症、耐糖能異常などの病態にも有効です。痛風患者には有酸素運動を比較的長時間行ってください。

(5)精神的ストレスの緩和=ストレスと血清尿酸値の関係は、まだ十分に理解されていませんが、関連がありそうです。過飲、過食、激しい運動などでストレスを解消するのではなく、のんびりとゆっくり型のストレス解消法が有効と思われます。

(鳥取県立中央病院内科・塩 宏)