健康ア・ラ・カルト

【5)口と歯 等】  2)斜めの臼歯

質問

19歳の女性の歯のことでお伺いします。この子は歯並びが悪く、前歯も犬歯が2本大きく出ています。これはしかたがないにしても、右下の奥の方から2番目の臼(きゅう)歯の根が斜めになって生えて、ちょっと沈んでおります。校医さんからこれは年を取ってから大変なことになると言われたそうです。近くの歯医者さんに行ってもちょっと自信がないからもっと研究しないとと言われたそうですが、大変なこととはどうなるのでしょうか。

また、この子は5、6歳のころから夜、歯ぎしりをしていましたが、関係があるのでしょうか。

回答

◎顎骨を吸収

ご質問には二つの問題点があると思われます。一つは歯並びのこと、二つは右側の奥から2番目の臼歯の根が斜めになって生えていることが将来大変なことになるだろうと言われたことを心配されていることです。

歯並びのことはしかたがないと言われていますが、おそらく上顎(あご)のことと思いますが、歯並びから2本の歯だけが前突しているのか、いわゆる上顎前突と言われるものかは判断できません。いずれにしても歯並びに関しても治療ができればなさって下さい。

次に2番目の問題点は、右下の大臼歯(第一大臼歯か第二大臼歯)の歯根が傾斜して生えて、沈んだままであること。幼少のころからの歯ぎしりとは直接には関係は無いと思いますが、何かの原因で完全にはえてこないままに沈んだ状態になっているのでしょう。第一大臼歯がこのように顎骨の中に埋まったままで生えないことは極めて少ないのですが、歯牙(が)が顎骨に埋まったままでいると、正しいかみ合わせの歯並びにならない、むし歯や歯周症になりやすい、顎骨の中に発生する病気にかかりやすい、等の原因になる恐れが十分にあります。 19歳の時には異常はなくても、埋もれたままの歯が数年あるいは数十年間、そのままになっていると歯牙を含んでいる上皮が病的になって、だんだん顎骨を吸収して行く病気などが考えられます。埋伏した第三大臼歯(親知らず)、犬歯、過剰歯に発生する確率が高いのです。ぜひ病院等の歯科、口腔(こうくう)外科の受診をお勧めします。

(県歯科医師会・松下理一)