健康ア・ラ・カルト

【10)アレルギー疾患 等】  2)スギ花粉症

質問

40歳代の男性です。外での仕事が多く、約5年前から春先、スギ花粉症と思われる症状があり、特に今年は大量に花粉が飛散するとのことで、ゆううつな昨今です。杉の葉の煎(せん)じた液が良いと聞き、服用していますが、ほかによい治療法はないでしょうか。

回答

◎花粉症用マスク

スギ花粉症は、吸入されたスギやヒノキの花粉が、身体の中に準備されている抗体とくっつき、鼻や眼のアレルギー症状がでる病気です。今年は例年になく、大量の花粉が飛散しています。

吸入量が多いほど症状が強くでるので、花粉を吸入しない対策が必要です。3、4月の天気のよい日、特に風の強い日(山陰では南風)に、飛散花粉が多くなります。こんな日には、極力外出を控えたり、窓を締め切っておくことが必要です。外出時には、花粉症用マスク(水で濡らしたマスクでもいい)やメガネの使用が有効です。帰宅時には髪や衣服を払い、花粉を家のなかに持ち込まないことも重要で、このことは家族の方にもお願いする必要があります。洗眼やうがい、鼻をかむことも有効です。

しかし、これだけでは症状のコントロールが不十分な方も多く、各種の抗アレルギー薬が治療の中心となります。私たちがよく使用するのは鼻に直接いれるステロイド剤で、副作用も少なく、効果は強力です。眼の痒(かゆ)みには抗アレルギー薬の点眼が有効です。内服の抗アレルギー薬もよく使用されます。

これらは花粉飛散前からの使用で、症状を軽くすることができます。以上のような薬は根治薬ではありませんが、くみあわせて使えば、多くの方が支障なく、シーズンを過ごすことが可能となります。

私たちが使っているのは、動物実験や臨床試験で有効性が確認された薬で、ご質問の杉の葉の液については科学的な裏付けがなく、お勧めできません。根治的治療としては、花粉エキスを少量ずつ皮膚に注射する免疫療法があります。

スギ花粉症は季節性とはいえ、毎年おこる慢性の疾患ですので、治療について、一度、耳鼻科医に相談しておかれることをお勧めします。

(鳥取大学医学部耳鼻咽喉科・鈴木健男)