健康ア・ラ・カルト

【12)感染症】  1)CRPとは

質問

30代の女性です。今年2月の職場健診で、貧血(Hbl0.8g/dl)とCRP(1.6mg/dl)で要精査を指摘されました。その時は朝食摂取後の検査でしたが、頭が重く、気分が不快であり、貧血症状が4月中ごろまで続きました。今は不快感はありませんが、6月4日の当欄に「炎症反応(血沈、CRPなどの検査)のほうが病気の活動性の指標になることがある」と記されています。CRPについて具体的に教えて下さい。

回答

◎陽性反応だが病気と関連?

CRPとはC-reactive protein(C-反応性タンパク)の略です。炎症性疾患や体内組織の壊死があるような病態の時、著しく増量する血しょうタンパクのひとつであって、主に肝臓で作られています。

CRPは正常人ではほとんどすべて陰性ですが、妊娠中や過度の疲労やかぜ症状、歯肉炎などの軽い炎症であっても一時的に陽性になることがあり、血沈などの他の炎症マーカー(指標)に比べて極めて鋭敏に反応します。CRPは特別な場合を除き、疾患の診断には役に立ちませんが、病気の急性期に出現し、経過によって著明に変動し、経過良好なら速やかに消失するため、病気の活動性、重症度、経過、予後、治療効果の判定に役立ちます。

例えば発熱が高いほど、白血球数が多いほど、CRPの陽性率が高くなります。また慢性関節リウマチ、リウマチ熱など膠原(こうげん)病の急性期・活動期や、肺炎などの細菌感染症では陽性率が高く、程度も強陽性を示します。一方結核やウイルス性疾患では一般には陽性率は低く、たとえ陽性を示しても程度は弱いです。

当院短期人間ドックでは数年前からルーチンにCRPを検査しています。大部分の人は陰性ですが、100人中2~3人はCRPが1.0~3.0mg/dl(正常0.5mg/dl以下)の軽度の増加がみられます。その理由として検査の際に風邪気味であるとか、胃腸障害があるとか、女性では月経中、膀胱(ぼうこう)炎があることなどがあげられます。

質問の方のCRPの程度はごく軽く、頭が重く気分が不快と訴えておられますので、検査時の風邪が原因であると考えられます。軽度の貧血ではCRPは陽性にはなりません。恐らく現在再検査されれば陰性になっていると思われます。CRPの測定は食事に影響されることはありませんが、軽度の貧血がありますので、子宮筋腫(きんしゅ)の有無などを一度婦人科で精密検査して下さい。

(鳥取県立中央病院総合検診センター・塩 宏)