健康ア・ラ・カルト

【7)腎臓と尿路】  1)血尿と潜血尿

質問

このところ毎年、健康診断で、別におしっこが赤くもないのに「潜血尿が出ている」と言われます。血尿と潜血尿とはどう違うのでしょうか。

回答

◎おしっこ赤くなくても注意

尿に血液が存在するかどうかを知る便利な方法としては試験紙法があります。これはあらかじめ反応物質のついた細長い試験紙を尿に浸してその色の変化で血尿の程度をみる方法です。この際、反応物質は敏感に赤血球と反応しますが、一方、筋肉が痛んだ時にでるミオグロビンや赤血球が崩壊した時にでてくるヘモグロビンとも反応し陽性となります。

このように試験紙法で陽性になった尿を潜血尿というのです。したがって、次に重要なことは尿の沈査によって赤血球があるかどうかを調べることで、あればはっきりと血尿ということができます。つまり、潜血尿すなわち血尿ではなく、潜血尿のなかに血尿が含まれるということです。

血尿は自分の目で見て赤い場合は、肉眼的血尿といいますが、そうでない場合を顕微鏡的血尿といいます。自分では尿の色が赤いと思わないのに健康診断で潜血尿がでているというのは大体後者のことを意味していますが、正確にはやはり尿に赤血球があることを確認する必要があります。

なお、血尿と分かれば尿の中にでている赤血球の変形状態を観察して、変形した赤血球が多ければ腎臓(じんぞう)の糸球体からでており、そうでなければ結石や腫瘍(しゅよう)とかぼうこう炎などの細菌感染など考えられます。

(鳥取大学医学部第二内科・上桝次郎)