健康ア・ラ・カルト

【16)耳・鼻・のど】  1)繰り返す鼻閉・鼻漏・鼻出血

質問

76歳、男性。15年ほど前から、非常に粉塵の多い環境で仕事をしているうちに、まず水洟(ばな)が出て止まらなくなり、鼻かみを頻繁にしたせいか、くり返し鼻血が出るようになり、今度は鼻の中が乾燥し、痂(かさぶた)が付着しピリピリと痛むようになりました。

水洟には内服薬、痂(かさぶた)には軟膏(なんこう)をこの十数年使用していますが同じような症状で良くなりません。最近では粘稠(ねんちゅう)な鼻汁が喉に下がってきます。私の鼻の状態を教えてください。

回答

◎頻繁な鼻かみも原因

本来鼻腔はその機能の一つとして、吸気の加温・加湿・ろ過作用を行っています。外気が鼻腔を通過するとき、豊富な血管を含む鼻粘膜により加温され、さらに鼻粘膜より分泌される粘液により加湿されます。

粗大な粉塵は鼻毛によって捉えられ、微細な粉塵は鼻粘膜上の粘液に吸着され除去されます。また鼻粘膜は異常刺激(異物、冷気、花粉など)が加えられると、種々の防御反応を起こします。鼻粘膜の過敏性によって刺激に対して過剰に反応し、くしゃみ・水様性の鼻汁・鼻閉を特徴とするのが鼻アレルギーです。

質問者の方は最初に粉塵刺激による鼻アレルギーを起こし、頻繁な鼻かみにより血管の豊富な鼻粘膜に傷がつき鼻出血を起こしたものと思われます。一度傷がつきますと痂が付着しますが、これを無理にはがしますと反って出血や粘膜・皮膚の炎症をひどくすることになります。そのため自分の指爪などで刺激を加えていると、いつまで経っても症状は改善しません。最近の鼻汁が喉に下がる症状は慢性副鼻腔炎によるものと思われます。質問者は十数年同じ薬を使用しており、抗アレルギー剤の副作用による鼻の乾燥、軟膏による薬剤性の鼻入口部皮膚炎・真菌感染症も考えられますので、一度耳鼻咽喉科専門医にご相談ください。

(東部医師会員・岩下和人)