健康ア・ラ・カルト

【8)内分泌疾患】  1)インスリン治療で足に痛み

質問

47歳、男性。以前より糖尿病があるといわれていましたが、自分では何ともないのでほっていました。しかしこのところ、体がだるく、また両足が抜けるようにだる痛く、近くの医院を受診して血糖が500もあるといわれ、インスリン治療を開始しました。血糖は下がってきたといわれるのですが、足のだる痛さは治るどころではありません。どんどんひどくなって、最近では夜も眠れないありさまです。一体どうなるのでしょう。治るのでしょうか。

回答

◎徐々に血糖を下げる

あなたの状態は「治療後神経障害」または「インスリン神経障害」といわれるものです。ある期間、悪い状態が続いた糖尿病患者さんに治療を始め、急に血糖が下がって来ますと、神経を取り巻く環境に浸透圧の変化など、急激な変化が来て、そのために痛みがひどくなるということがしばしば見受けられます。

対策としてはインスリンの量をうんと減らしていったん血糖を高くした後、ゆっくり、ゆっくりとインスリン量を増やして、徐々に血糖を下げてゆくのです。

主治医に相談して、少し痛みを和らげる薬でももらいながら、積極的に運動をしてみて下さい。普通の坐骨神経痛などでは、痛みを緩和するために運動を制限しますが、糖尿病性神経障害では逆です。歩くとかえって楽になります。夜中でも痛んで眠れない時には、起き出してしばらく歩いてみて下さい。すこしは楽になります。

それからこの痛みは必ずよくなります。それを楽しみに糖尿病の基本的治療を実行して下さい。

(東部医師会員・北室文昭)